不正送金問題によって注目されるようになった「不正利用」への対策
私は、今回の不正送金問題によって、「資金移動業者の破綻に備える」という論点に優先して、「3.不正利用リスク、マネーロンダリングリスク」への徹底した対策が求められるようになったと考えています。
今回の不正送金問題は、キャッシュレスサービス全体の信用を失墜させかねない問題です。その主要な原因は、銀行、資金移動業者ともに、本人確認を行う仕組みが甘かったことによるものだったことは間違いありません。銀行口座から資金移動業者のウォレットにチャージできるようにする手続きの中には、銀行側で既に本人確認をしっかり行っているという前提で、資金移動業者独自に別途の本人確認を実施していないケースが多くあります。これは「銀行依拠」と呼ばれている方法で、UXを考慮した場合にも非常に使い勝手の良い仕組みとして広く行われている方法です。