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スマホ時代のビジネスを支える“保証”

改正割販法から考える、ユーザーから選ばれる決済事業サービスの構築と与信審査のポイント

第3回

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 近年、日本国内には様々な決済手段が登場し、国を挙げてのキャッシュレス推進の文脈とも相まって活況を呈しています。決済分野においてFintech企業の事業展開が拡大し、また、異業種からの決済分野への参入も含め、多様な決済主体・サービスが登場しています。特に、少額・低リスクの後払いサービスなど、消費者の細かなニーズに対応したサービスが拡大しており、他方、そのニーズを受ける形で、ビッグデータ等に基づき、AI分析等の新技術や長年培われたノウハウを用いた与信の精緻化が進んでいます。
 今回は、4月1日に施行される改正割販法の内容を踏まえつつ、決済事業における与信審査について考察し、UXと与信・督促回収の関係など、一般に公開されることの少ない情報をお伝えしながら事業の問題点と本質を浮き彫りにしていきます。

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4月施行の改正割販法で押さえておくべきポイント

 2021年4月、「クレジットカードの法律」ともいわれる割賦販売法(以下、割販法)の改正法が施行されます。本改正法の目玉は主に2つあります。

 1つ目が、少額(10万円以下)の分割払いサービスの提供事業者について、登録制度を設けるというもの(「登録少額包括信用購入あっせん」)。2つ目が、技術やデータを活用した決済事業者ごとの独自の与信審査(「利用可能見込額調査」)手法の許容です。

 従来、クレジットカード決済は、比較的高額な商品やサービスの購入を可能とするためのサービス設計が主流でした。設定される極度額(利用可能枠)も30万円程度〜200万円程度と高額です。クレジットカードユーザーは、通常分割払いを利用することができますが、クレジットカードを提供する事業者には、本人確認義務のほか、割賦販売法という法律により「登録包括信用購入あっせん業者」として重い規制が一律に課されています。特に、極度額を設定する際に、ユーザーへの過剰与信防止の趣旨で「支払可能見込額調査」を指定信用情報機関である「CIC」を使用して行うことを義務付けられているのがポイントです。

 しかしながら、食品・日用品等の買い物や動画等のコンテンツ視聴など日常の利用を想定する場合には、多額の与信枠はそもそも不要です。また、決済事業者側に重い規制が課せられているということは、ユーザー視点では申し込みや管理の場面で多数の手間がかかることと同義であり、UXの悪化に繋がりかねません。

 そこで近年、ユーザーの細かなニーズに対応したより良いUXを備えたサービスを提供するため、Fintech企業が中心となって、新たな決済サービスを次々に生み出しています。いずれの企業も、

  • そもそもの与信枠が少額に抑えられていれば、ユーザーが支払い困難になるほどの債務を負うことは想定しづらいということ
  • 技術を活用しユーザーの動的なデータを分析することでより精緻な与信審査やリスク管理ができること

を前提に、サービスを開発・提供しています。

 今回の割販法の改正はこのようなFintech企業のトレンドを踏まえたものといえ、新設される少額類型によって、ユーザーからのニーズが高く事業者も収益が作りやすい「数万円程度の利用でも後払いで分割ができる」新しいFintechサービスの登場が期待できるようになります。また、従来型の割販法下のクレジットカード等における審査の場面でも、独自の与信手法を現行の支払可能見込額調査に代えて実施することが認められることになります。この点、大手のカード会社や信販会社といった既存の割販法下で営業する事業者の多くが、過去からの膨大な取引データを基盤にして独自の与信手法の構築に取り組んでいますので、他社とのサービスの差別化が図りやすくなってくるでしょう。

 なお、今回の改正法では、指定信用情報機関(CIC)のへの加入義務や信用情報の使用義務自体が免除されるというわけではありませんので注意が必要です。

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この記事の著者

小山 裕(コヤマ ユタカ)

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