成功企業が実践する新たなオープンイノベーションの形
コンピュータの処理能力は高まり、ビッグデータを扱えるようになったにもかかわらず、将来予測は以前より困難になり、進むべき道が見えにくくなっています。
世界の大企業の経営層は、破壊的なイノベーションを起こり、将来的には自社が存在意義を失ってしまうのではないかとの懸念を強めています。
そんな状況のなか、従来とは趣を異にするイノベーションアクターが登場し、新たな形態で既存のビジネスと関係を築き始めていることがDDCの最近の調査でわかってきました。
たとえば、米国の大手通信会社AT&Tは、AT&T Foundry™という、大企業には勤めたくないけれども、新しいビジネスモデルのアイデアを持っている才能ある若者と協業するための組織を作りました。
すでに400以上もの技術系・デザイン系スタートアップが集まり、AT&T社員と社外のスタッフが一緒に働いています。ここから生まれた見込みのある製品やサービスには、AT&Tが投資をし、マーケティング支援もします。
AT&Tは、特許を侵害されるのではないか、自社のアイデアが盗まれてしまうのではないかといったことを恐れずに、思いきって会社をオープン化し、まだ脆弱な中小スタートアップに自社のリソースを提供できるようにして、新たなコラボレーションの形態を作ったのです。
小企業が協力し、大企業を下請けのサプライヤーとして採用した、従来とは関係が逆転した次のような例もあります。
コンビニで入手できるような手軽なスマートフォン用の携帯充電器を開発したRally Powerは、大企業をスタートアップとマッチングする小さなコンサルタント会社Tomorrow Labと組み、中国の大手製造企業や小売店ネットワークと提携して製品の事業化を実現しました。