行動科学や脳科学を「企業文化」の変革に活用する
スコット・アンソニーらは、さまざまな実践知と行動科学とを融合し、「望ましい行動を定義」することから始めるのが重要だと述べている。さきほど挙げた5つの行動方針をもう少し具体的に説明してみよう。
- 旺盛な好奇心:現状のあり方に常に疑問を持ち、より良い状態を探る
- 顧客への執着:「顧客のジョブ[3]」を絶えず理解しようとする
- 協同: 部門間の人と自在に協力しあい、集合知を活用しようとする
- 曖昧さにおける熟達:情報が不足していても試行錯誤や実験を行い、適切にリスクが取れる
- エンパワーメント:率先垂範、リソース面の工夫、自信を持った意思決定
このように具体的にしてみると、実行できそうに感じるかもしれない。だが、実際に企業文化を変革するには、これだけでは不十分だ。本書では、メンバーにその望ましい行動が習慣として定着するような枠組みを、「Behavior Enablers」「Artifacts」「Nudges」の4つの単語の頭文字をとり「BEAN」として提示している。