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INNOSIGHT流イノベーションの興し方

行動科学の視点で「イノベーションを起こす企業文化」を醸成する方法

洋書レビュー:『Eat, Sleep, Innovate』Scott D. Anthony、他 著

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 クレイトン・クリステンセン設立のイノサイトを率いて世界的組織へと成長させたスコット・アンソニーは、『イノベーションへの解 実践編』や『ザ・ファーストマイル』等の著者としても名を馳せている。特に、『ザ・ファーストマイル』では、新規事業やイノベーションに必ずつきまとう「不確実性」のマネジメントを具体的にガイドしている。彼の最新刊では、「イノベーションを起こす企業文化をどのように醸成するのか?」というテーマを行動科学の知見に基づき解説している。

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普通の組織がイノベーション体質を獲得する鍵は「行動変容」

 今回紹介する書籍『Eat, Sleep, Innovate[1]』(以下、本書)のテーマはずばり「行動変容」である。「顧客志向」「アジャイル」「DX」など、経営トレンドは変わっても、常に障壁となる組織の体質が変わらないことに課題を感じている方に本書をお勧めしたい。

 これまでスコット・アンソニーおよびイノサイトで記してきたノウハウの多くは、「いかにしてイノベーションを起こすのか?」というテーマを対象にしてきた。特に『ザ・ファーストマイル[2]』は、新規事業に取り組む担当者や経営者の隠れた愛読書になっている。なぜ“密か”に読まれているかといえば、新規事業の華やかな面だけでなく、潜むリスクとその減らし方にフォーカスしているからである。

 『ザ・ファーストマイル』が新規事業という“競技”に関する本だとすると、本書は“日々のトレーニング”に関する本である。体重を減らしたり、体力を増進したり、運動能力を高めたりするには、運動についてのノウハウだけでなく、食生活や睡眠など、リバウンドを防ぎつつ着実に日々の習慣を改善することが不可欠となる。このことは組織変革にも当てはまる。

 本書では、さまざまな課題を乗り越えた「普通の会社」の事例が多く紹介されている点が興味深い。GAFAやシリコンバレーのスタートアップの華々しいストーリーばかりが注目される傾向にある。しかし、その陰に隠れている、特別なことに取り組む普通の組織(NO-DET:Normal Organization Doing Extraordinary Things)の事例を読むことで、いかなる組織も変われるのだという「自信」と「勇気」が得られるはずだ。


[1]:”Eat, Sleep, Innovate: How to Make Creativity an Everyday Habit Inside Your Organization” (Scott D. Anthony , Paul Cobban , Natalie Painchaud , Andy Parker /Harvard Business Review Press ,2020/10/20)

[2]『ザ・ファーストマイル』(スコット・アンソニー/翔泳社 刊)の解説記事

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この記事の著者

津田 真吾(ツダ シンゴ)

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