DX税制は、企業の事業変革に向けたデジタル投資を促進することを目的とし、全社レベルの事業計画をベースにその実行に伴うデジタル化に関連した費用に適用される優遇税制で、主にクラウド技術を活用したデジタル関連投資を対象としている。DX税制によってレガシーシステムからの脱却やデータ連携等が進み、企業のデジタル変革が加速すると期待されており、「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律」の施行日(2021年4月予定)から運用が開始され、2023年3月末が適用期限となる。
DX税制を適用するために、企業はまず、DXを進めるために実践すべき事項を経済産業省が定めた指針であるデジタルガバナンス・コードの基本的事項に対処すると共に、その認定を取得する必要がある(DX認定)。その内容には全社レベルでのデジタル技術を活用した事業変革の方針や、戦略・組織・人材面での方策、成果指標、サイバーセキュリティに関する対策などが含まれている。また、優遇税制適用にあたり、前述の「DX認定」取得を含む「デジタル要件」と「企業変革要件」からなる「事業適応計画」を策定し、事業所管大臣から認定を得ることが必要となる。
一連の手続きには、デジタルガバナンス、サイバーセキュリティ、税務といった様々な専門領域の深い知見が必要であることに加え、優遇税制適用までの期間は数ヵ月におよぶとみられており、限られた税制措置期間のなかでの手続きが求められている。このためデロイト トーマツは、DX税制適用までワンストップでの支援を可能とする専門家チームを立ち上げた。同チームはデジタルガバナンス、サイバーセキュリティ、税務などの各領域から約30人の専門家によって構成される。また、DX税制やデジタルガバナンス・コードの趣旨に鑑み、従来のITガバナンスが目指した情報システムの安定稼働のためのリスク管理のみならず、デジタルを活用したビジネスモデル変革による価値創造を目的として、その実現を支えるガバナンスの仕組みの構築支援を提供していくとしている。
DX税制適用支援サービス概要
STEP 0:DX認定取得(約3~4ヵ月)
- デジタルガバナンス、サイバーセキュリティの見地から、DX認定の要件を満たすために必要な事項の検討、助言、ならびにDX認定申請書類記載の内容に係る助言
STEP 1:事業適応計画の作成(約1~2ヵ月)
- 企業とのディスカッション、関係当局との確認を踏まえ、当該企業における適用領域、変革要件の明確化、および事業適応計画のドラフト作成に係る助言
STEP 2:関係当局への事前相談・計画認定申請(約1~2ヵ月)
- 関係当局と事業適応計画に関する事前相談を行ったうえで、企業とのディスカッションを実施
- 税務の専門領域の観点から、影響金額のシミュレーション、計画認定の申請に係る助言
STEP 3:計画認定後~DX投資促進税制の適用
- 企業からの相談内容に基づき、関係当局への確認対応