日本企業の経営者が身につけるべき「DXの思考法」とは?
そもそもDXの本質とは、新しいテクノロジーによって産業や市場の構造が変わり、それが経営にインパクトを与えることにある。たとえば、スマートフォンが登場し、iOSやAndroidにOSが共通化した途端にガラケーのビジネスは消滅した。しかしながら、日本ではそうした事象が頻発する中でも、迅速かつ適切な撤退や進路変更などの意思決定ができていないという。
冨山氏は「コロナ禍によってDXは進み、シビアな意思決定がさらに求められる。数年後に残っている企業がどれだけいるだろうか」と懸念を示す。そして、そうした状況を打開するために経営に求められるのが、“探索”と“深化”という「両利きの経営」というわけだ。かつて「イノベーションのジレンマ」では、イノベーターが次に来るイノベーターに駆逐される皮肉を指摘した。それを乗り越えるためには、「イノベーターがなぜイノベーターでなくなってしまうのか」という問いのもと、「新たなイノベーションを起こす仕組み」を“探索”することが重要になる。