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bridge流の新事業創造

社内から組織変革を牽引する「プロジェクトデザイナーの存在」、コアとなる3つの能力とは

第4回(最終回)

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 前回まで、新規事業開発を阻害する要因をはじめ、企業のイノベーション成熟度を測る診断基準、組織変革の進め方などを公開しました。3回の連載を通じて一貫させたメッセージは、「新規事業を生むための組織(土台)」がなければ、事業はうまく育たず、イノベーションも生まれないということです。最終回となる本稿では、「イノベーションを生む組織への変革」をテーマに、その変革をリードする人材に求められる「プロジェクトデザイン」の概念についてお伝えします。

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「思想・手法・リソース」が重要となるプロジェクトの新定義

 イノベーションを創出しようと試みる組織の取り組みは、あらゆる側面で既存事業と新規事業との間で生まれるジレンマに向き合うことが求められます。変革へのビジョンを持って実現を牽引する存在がいなければ理想論に陥り、組織イノベーションは実現されません。

 では、イノベーションプロジェクトでは、どのようなスキルセットが求められるのでしょうか。本稿では、「これまでのプロジェクト」と「これからのプロジェクト」という両者を比較しながら、組織変革プロジェクトに必要な要素をご紹介します。

 これまでのプロジェクトは、人材や予算、時間などのリソースを適切に把握し、計画通りに進捗管理する「マネジメント」により達成されていました。

 ところが組織変革や新規事業のプロジェクトは不確定要素があまりに多く、「これまで」のプロジェクトの定義ではうまく推進することができません。

 業種・業界を越えてビジネス環境も大きく変化する中、企業は「新規事業が育つ土壌や文化」を生み出すため、「これから」のプロジェクトを推進する必要に迫られています。

 bridgeでは6つの視点でプロジェクトを分解し、従来の「プロジェクトマネジメント」と、これから必須となる「プロジェクトデザイン」の違いを整理してお伝えしています。

 まずは「思想」「手法」「リソース」の3つから見ていきましょう。

プロジェクトデザイン画像クリックで拡大

1:思想

 計画を管理する「マネジメント」から、意思を表現する「デザイン」へと移行します。これは「ビジョン」と言い換えても良いでしょう。

 これまでは「なぜやるのか?」が語られることは少なく、自社利益がゴールであっても協力を仰げる時代でした。しかし今はそれが通用しない時代です。同時に、不確定要素の多いプロジェクトでは、明確な役割分担で機能させることができないため、お互いに助け合い、カバーし合うことが求められます。

 そこで重要なのが「Why(なぜやるのか?)」です。リーダーがビジョンを描き、未来を語ってくれるからこそ「参加したい、時間を割きたい!」とメンバーは思えるわけです。

2:手法

 機能的な問題解決から、創造的な問題解決へ向かいます。従来のアプローチは、問題に対して自分たちの経験からリソースやアセットで対応すれば解決が可能でした。

 ところが現在、企業が抱える新規事業に関する多くの問題は過去の延長線上には解決の答えがありません。これまでの自社・業界の習慣や行動様式から一度離れ、自社にない能力は外部とのコラボレーションで獲得していくプロデュース力が必要になっています。「何を成すべきか?」から逆算し、ビジョン実現に向けて必要な能力は社内外を問わずリソースとして活用することが重要です。

3:リソース

 「モノ・カネ・時間」は共通している一方、「ヒト・情報」については、考え方を大きく見直す必要が出てきました。ヒトについては、「人工(にんく)から才能へ」がキーワードとなります。

 「人工」とは、作業する人の労働力を表したもの。何時間でどれだけの作業ができるかを見積もる際に使います。この考え方は、個々人が「同じ能力を発揮する前提」にもとづいていることにお気づきでしょうか。

 これからは、その人が持つ才能やビジョンに寄り添いながら、120%全力でやりたいと思える仕事をアサインすることが重要です。表現を変えると、やりたくない仕事は燃費効率がもっとも悪いため、リソースとして十分な効果が見込めないということです。

 また、社外がキーワードの「情報」も同じく重要です。これまでは社内の慣習や前例、方法論に囚われていたものを、社外にある新しいやり方、人材の起用へと転換する。イノベーションを生み出すヒントとして大切な要素です。次項では「実行」「リーダーの存在」「メンバーの存在」の領域で、どのような変化が起きているのかを見ていきます。

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この記事の著者

大長 伸行(オオナガ ノブユキ)

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