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新規事業とは“新しい組織能力”の獲得である──組織に“非イノベーション構造”を生み出す元凶とは?

第1回

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 社内起業制度や社内の風土改革は、なぜうまく進まないのか。中小企業から大手企業まで、様々な規模のプロジェクトを横断してきた経験から、座学知識ではなく「実践知」としての解決策を、本連載では事例を交えながら具体的に解説します。本稿では、ほとんどの企業が自社イノベーションの阻害要因を特定できない問題についてご紹介します。

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組織に“非イノベーション構造”を生み出す元凶とは

イノベーション活動に対する企業の意識調査

 新規事業を通したイノベーション活動に注目が集まっている一方で、期待する結果を生み出せていない現実が多くの企業で課題となっています。

 帝国データバンクの「アンケート調査[1]」によると、経営者1万人のうち47%が「能力のある従業員の不足」が原因と回答。企業からは「新たなビジネスモデルの創出を模索するも、社員の能力と意欲がついてこられない現実がある」などの意見があるようです。しかし、ここで2つの疑問が浮かびます。

「イノベーションにおける能力とは何か?」

「企業はどのようにその能力を育成してきたのか?」

 営業や経理、法務の仕事であれば、3年ほどで一定のスキルを持つ人材に育てることも可能です。ところが新規事業だけは能力の定義が曖昧で、体系的なリソースもナレッジも不十分でした。つまり新規事業が成功しない原因は「能力のある従業員の不足」ではなく、そもそも「能力の定義」がされていなかったことに課題があったと考えることができます。

事業の成熟度とKPIの置き方

 市場が成熟している既存事業では、客観的な数値にもとづいた最適な意思決定、合理的な判断が求められます。一方で新規事業は、初期のアイデア創出段階においては「顧客の“不”の特定」や「解決策の検証」がテーマになります。その後、市場の成熟に合わせて「シェア拡大」「優位性の強化」などの課題へシフト。この視点を切り替えることなく議論を進めてしまうため、本来獲得すべき能力が何なのかを見失ってしまうのではないでしょうか。

 新規事業に対する考え方が間違っていることや学習機会がなければ、真の成果にはつながりません。特に目先の売上や、短期的でわかりやすい成果を求めてしまうと、「社内の新規事業開発がうまくいかない」という事態に直面してしまいます。この原因は企業個々の問題だけでなく、社会構造としての背景もあります。

 1950年代「戦後復興と創業の時代」は全社員がイノベーターでした。しかし、1970年~1990年代にかけて創業者層がリタイア。現在の不透明なビジネス環境の変化を受け、新規事業を通したイノベーションの必要性に迫られるものの、経験者不在の組織は成功体験がないため「意思決定ができない状態」を迎えています。

 こうした“非イノベーション構造”とも呼べる環境を乗り越え、新規事業開発を成功に導く「能力」を獲得するためにはどうしたら良いのでしょうか。


[1]イノベーション活動に対する企業の意識調査「イノベーション活動、企業の約4割が実施~組織やマーケティングの工夫で中小・零細企業の品質・シェア拡大も~」』(帝国データバンク、2015年9月15日)

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この記事の著者

大長 伸行(オオナガ ノブユキ)

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