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『ミズノ本』“地味な経営”を好むミズノが100年企業となり、グローバル・スポーツブランドになれた理由

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「ミズノはビジネス誌に載らない」そのワケとは?

 ミズノは水野 利八(みずの りはち)氏による創業からはじまり、現在は水野家4代目である水野 明人(みずの あきと)氏が社長を務めています。代々会社を引き継いでいるわけですが、100年以上の社史において変わることがなかった、同社の意外な一面について本書は述べていました。

 それは、「派手を好まない」ということ。水野社長によれば、同社製品は性能面で非常に優れているものの、デザインが他のブランドに比べて地味であったり、マーケティングにあまりコストをかけていなかったりするといいます。著者はこれを「日本的な『奥ゆかしさ』/『機能美』」と表現。また、外資系ブランドのスポーツ用品価格が高騰していることに対し、ミズノは学生や子どもにとって、ちょうど良いパフォーマンスや価格のモノを豊富に揃えていると考察しています。派手さを好まない体質が製品に表れていることは、時に不利なのではと感じる人も多いでしょうが、だからこそ根強い信者やファンが生まれるということもあるのです。本書中にある水野社長の言葉によれば、これは決して意図的な施策ではないようですが、ある意味でミズノのブランド戦略になっているのではないでしょうか。

 また、「経営」という観点においても、ミズノは“地味さ”を大切にしています。なんとミズノは、“ビジネス誌に載らない”そうです。社長によれば、ビジネス誌に載るということは“もてはやされている”状態。それを続けていると、いずれ「失敗を語る」コーナーに登場するという信条を持っているのだといいます。

 「企業の継続には成長・収益・インフラ投資のバランスが大切であり、急成長はそのバランスを崩す要因となる」と本書で述べている水野社長。急成長中の競合他社も見られる中で、同氏は「うちはうちなりのやり方を」を徹底しているようです。

 また、少子化が進む情勢を踏まえ、スポーツ市場がこの先大きく拡大していくとは考えていないようです。よって、これまで同社が積み上げてきたノウハウや知見、他社には存在しない経営理念を活かし、スポーツ以外の新たな領域にも挑戦している最中だと本書で述べています。

 いかがだったでしょうか。公の場であまり語ることがないというミズノと、水野社長。

 本書は、ミステリアスでユニークな同社の正体を、経営や事業、アスリートからの評価など、さまざまな分野と観点で語っています。私は、実際に読んでいくうちにミズノという企業の面白さと不思議さに惹かれていきました。今後、世の中のビジネス環境が激しく変化していく中で、同社がどのような舵をとっていくのか皆さんも注目してみてはいかがでしょうか。

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この記事の著者

名須川 楓太(Biz/Zine編集部)(ナスカワ フウタ)

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