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ビジネスアジリティとデザイン

体験デザインをデジタルプロダクトへと正しく翻訳する──顧客も含めたチームで行うUIデザインとは?

第4回

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 本連載では、「使いたい!」をデジタルプロダクトで実現し続けるための具体的方法として「体験デザイン×リーン×アジャイル」を提案しています。前回は「体験のデザイン」の各種アウトプットとそのアプローチをお伝えしました。今回は「体験のデザイン」を具体的なカタチに落としていくUIデザインのプロセスをタイガースパイク UI Designer の澤田からご紹介します。UIデザインが他職域(ビジネス、UXデザイン、エンジニアリングなど)と観点を合わせながら共創していくための導入プロセスのデザイン(以下、「導入デザイン」)を軸にご紹介したいと思います。

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UIデザインを成功に導く「導入デザイン」とは

 タイガースパイクでは、それぞれの職域の専門性を生かすために「UXデザイン」と「UIデザイン」で担当者を分けています。その上で、理想とするデジタルプロダクト開発の進め方が実現するように、デザイナーに限らず他職域も含めた各職域・各工程間を滑らかに接続できるようなデザインプロセスの設計を行っています。これはチームとして体験のデザインを行うことが品質の向上に紐づくと捉えているからです。目指すべき体験をデジタルプロダクトにより実現するため、各職域が体験デザインで導き出した共通の考え方を起点とし、機敏性を持ちながら連携していく形で進行していきます。

UXデザインとUIデザインの連携
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タイガースパイクにおけるUXデザイナーの成果物からUIデザイナーの成果物への連携

 詳細は後述しますが、前回の主テーマであった体験のデザインから今回のUIデザインへの連携は、上記の図のように行われます。そして、「UIデザイン」の工程は「情報設計」と「ビジュアルデザイン」の2つに大きく分けられます。これらの工程は、一見専門性が高く、他職域からの関与が難しく感じられますが、実際には他職域のメンバーも含めた合意形成が「優れたUIデザイン」の実現にとって非常に重要な要素となります。それを実現するのが、プロダクトチーム全員で取り組むUIデザインプロセスの「導入デザイン」です。

 たとえば、以下のような経験はないでしょうか?

  • 情報設計に関して:大切だとは思うがどうレビューしていいかわからない、もしくは決め手がない
  • ビジュアルデザインに関して:(デザインの)センスがないので、どうコメントしていいかわからない
  • 過去の経験談:これまでもUIデザインの提案を何度か受けたが、全然イメージが違ったので苦労した

 これらの経験を回避・改善するために必要なことは、レビューを実施する際の決め手やデザインのセンスでもなければ、担当者個々人の好みやイメージにフィットした成果物でもありません。必要なのは、(顧客も含めた)プロダクトチーム内で細かい頻度での対話の繰り返しを通して、UIデザインをする際の「観点を共通化」していくことです。これを、UIデザインプロセスの「導入デザイン」といいます。これを実施することで整理される観点は以下の通りです。

  • UIデザインのプロセス
  • UIをレビューする際の大局的な方針
  • UIのスタイリングを定めるビジュアルデザインの方針

 上記が整理・共通化されることで、以下のようなメリットがあります。

  1. UIデザインのプロセスが明らかになり、プロダクトオーナーもそのプロセスに参加するため、意思決定の速度が上がる
  2. 細かな頻度での対話を実施する点で、素早く変化に対応しながら進行できるので結果として大きな波乱が起きづらく全体的な時間は短縮される

 本稿を通して、UIデザイナーは単にビジュアルに関わる部分のみを担っているだけでなく、UIデザインに対する「共通の観点」をチーム内に導入することも本来果たすべき役割であるということがお伝えできればと思います。また、その役割をどれだけ全うしているかは、UIデザインのパートナーを選定する上での大きな決め手となってくると考えています。

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この記事の著者

澤田 浩二(サワダ コウジ)

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