NTT西日本ら8組織は、「農業の自然循環機能の増進」「環境負荷の低減」「生物多様性の保全に配慮したネイチャーポジティブな環境再生型農業の普及拡大」を目指し、「果樹の農業生態系の各層(土壌および微生物叢、作物)のデジタルデータ化およびマルチオミクス解析」に関する共同研究を実施する。
参画組織は以下のとおり。
- NTT西日本
- 理化学研究所
- 福島大学
- 北海道大学
- 東京大学大学院農学生命科学研究科
- 前川総合研究所
- 大阪府立環境農林水産総合研究所
- 筑波大学
これによって得られたデジタルデータは、NTTが提唱するIOWN構想のテクノロジーと組み合わせ、農業のデジタルツインコンピューティングを目指すという。
同研究では、土壌中の微生物機能に着目して解析を実施し、各農場内の微生物を評価。農業生態系の各層(土壌および微生物叢、作物)を科学的に解析し、数値化されたデジタルデータを基に各階層間における相互作用の解明を進めるとしている。
これを通じて、果樹園地の土壌に生息する微生物叢である、土壌マイクロバイオーム(土壌微生物プロファイル、土壌微生物の多様度)に基づいた精密診断法を確立。生産者が安定的に果樹栽培を実施できるように支援するほか、環境再生につながる農業の推進を目指すという。
なお、研究対象は温州ミカンとし、日本全国の有機栽培、特別栽培、慣行栽培の農場から土壌と作物の両方を収集し、科学的に分析・数値化するとしている。
最終的には、土壌や微生物叢、作物の解析データを取りまとめ、主成分分析や相関ネットワーク解析などによる統合マルチオミクス解析を実施。果樹の収量・品質に影響をおよぼす主要因子を解明する。その上で、多様な栽培方法の農場から得たデジタルデータを格納した、土壌データベース・土壌AIエンジンによる精密診断手法を開発するという。