広告予算はどう変化したか
次に、広告予算の変化(オンライン<デジタル>/昨年比)を見ていこう。
昨年と比べて予算が増えたオンライン広告で最も回答が多かったのは「検索連動型広告」の31.5%となった。「動画広告」の24.8%、「ディスプレイ(静止画バナー)広告」の24.3%、「インフィード広告」の20.4%が続く。
「減った」という回答は「ディスプレイ(静止画バナー)広告」の7.4%が最多だったが、どの広告も「減った」の割合は「増えた」に比べて小さく、「変わらない」という回答と合わせて、オンライン広告を積極的に減らそうとする動きは見られない。
しかし、昨年刊行した『マーケティング最新動向調査2021』(回答者には2020年の現状を質問した)と比較すると、1年で予算が「減った」という回答が全体で約1%増加している。特に「アフィリエイト広告」は2.0%、「検索連動型広告」が1.8%と増加割合が大きい。コロナ禍2年目となり、1年目の状況を受けて広告予算の見直しが進んだと考えられる。
マーケティング施策とツールの予算の変化
広告予算の変化とともに、自社のサイトやアプリ、ECサイトに関するマーケティング施策とツールの予算についても紹介する。こちらも2020年と比べて2021年にどう変化したかを質問している。
「増えた」という回答が最も多かったのは「コンテンツマーケティング(情報メディア、ブログなどによる情報発信)」の34.6%。「動画コンテンツ配信」の28.0%、「アクセス解析・効果測定」の24.9%が続く。「SEO」「メール配信・プッシュ通知」「Web接客・チャット」も20%を超えており、予算注力の度合いがうかがえる。
「減った」という回答については、最も多かったもので「SEO」の4.2%だった。他の施策も2~3%台で、大きな減少傾向は見られない。
しかし、実施しているか否かに着目すると、「ライブ配信・ライブコマース」では「実施していない」の回答が49.3%なのに対し、「アクセス解析・効果測定」が16.6%とかなりの開きがある。他、「増えた」「変わらない」「減った」という回答を合わせて「実施している」と捉えると、「実施している」が50%を割っている。施策が「アクセス解析・効果測定」に加えて「レコメンドエンジン」「Web接客・チャット」「ライブ配信・ライブコマース」となる。
昨年の調査と比較すると、実は「変わらない」という回答が全項目で増えており、「増えた」という回答が全項目で減っている。コロナ禍でのデジタルマーケティングについてはある程度方向性が見えたということかもしれない。だが、各施策ともに国内での普及にはまだまだ伸び代があると見ることもできる。
本調査の全結果とクロス集計の結果に加え、「マーケティングをめぐる近年の動向の概観」や「主要マーケティングプラットフォーマーの動向」をまとめた『マーケティング最新動向調査 2022』は、翔泳社のECサイト「SEshop」でのみ販売しております。