ソーシャルメディア施策の変化
今や不可欠となったソーシャルメディアに絞った施策についても見ていきたい。
予算が「増えた」という回答が最も多かったのは「SNSのアカウント開設・運用」の28.0%で、「インフィード広告(タイムラインに表示される広告)」の17.3%、「インフルエンサー/アンバサダー/ファンマーケティング」の14.1%が続いた。
「減った」という回答はいずれも2?3%台で目立たないが、昨年と比べると「減った」が増加傾向にあり、「増えた」も全体を通して減少している。
実施状況を見ると、「SNSのアカウント開設・運用」と「ソーシャルリスニング分析」を除くとどの施策も40%に至っていない。予算の増減も加味すれば、アカウント運用はしていても、より積極的なソーシャルメディア施策にまでは踏み込めていないようだ。
TikTokとTwitterの利用目的
最後に、近年マーケティングにおいて注目度の高いTikTokと、もはや企業インフラのような必須ツールとも言えるTwitterをどのような目的で利用しているかを尋ねた結果を紹介する。
TikTokは2021年に最も話題を集めたSNSの1つで、ショート動画の隆盛とともに今後ますます多くの利用が想定される。現状では先駆的な取り組みが中心で、目的別の利用率は「ソーシャルリスニング」(4.0%)や「潜在顧客に対する製品・サービスの認知拡大、理解、関心、購買意欲の促進」(3.7%)、「新規リードの獲得」(3.1%)が相対的に高くなっている。
傾向としてはFacebookやInstagramと酷似しており、企業での利用が進めばこうしたSNSと同様の目的で成果を期待できるのではないだろうか。
Twitterについては、「ソーシャルリスニング」(36.0%)や「潜在顧客に対する製品・サービスの認知拡大、理解、関心、購買意欲の促進」(33.6%)、「製品・サービスの販売促進」(27.8%)などを目的とする利用率が相対的に高い。
「既存顧客へのアフターサポート」(10.7%)、「既存顧客へのアップセル・クロスセルの提案」(13.1%)、「顧客とのone to oneコミュニケーションの促進」(17.3%)といった目的での利用は相対的に低い。
既存顧客に寄り添ったコミュニケーションよりも、ユーザーへの認知拡大や新規顧客の獲得を目的として利用されていることがわかる。また、FacebookやInstagramと比べると「ソーシャルリスニング」を目的とする利用が多い。
ここまで、『マーケティング最新動向調査2022』をもとに回答結果の一部を概観してきた。コロナ禍のマーケティングについて、その実態を少しでもクリアにしていただけたなら幸いである。
本調査の全結果とクロス集計の結果に加え、「マーケティングをめぐる近年の動向の概観」や「主要マーケティングプラットフォーマーの動向」をまとめた『マーケティング最新動向調査 2022』は、翔泳社のECサイト「SEshop」でのみ販売しております。