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『アマゾンvsウォルマート』小売に変革を起こしてきた“リアルの王者”は、迫りくるアマゾンとどう戦う?

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 「ネットの巨人」アマゾンと、「リアルの王者」ウォルマート。両社ともに、数々のイノベーションによって小売業界の仕組みそのものを大きく変えてきた。そして今では、米国企業売上ランキングでトップを争う2社である。新型コロナやDXなどの時代の変化により、新たな局面を迎えている小売業界だが、両社から得られる変革のヒントはたくさんあるに違いない。今回は『アマゾンvsウォルマート ネットの巨人とリアルの王者が描く「小売」の未来』(鈴木 敏仁 著/ダイヤモンド社)から、イノベーションのヒントと、今後の小売業界の行く末を探る。

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「リアルの王者」ウォルマートがたどった業態変化の道筋

 2020年度の米国企業売上高ランキング(Fortune 500)によれば、ウォルマートの連結売上高は5,591億5,100万ドル(対前年比6.7%)で第1位。アマゾンの連結売上高は3,860億6,400万ドル(対前年比37.6%)で、第2位となっている。圧倒的な差で1位の座に君臨しているウォルマートに、アマゾンが年々肉薄しているという状況だ。

 では、ウォルマートが「リアルの王者」といわれるまでに至った進化の歴史を見ていこう。

 ウォルマートは、1945年にサム・ウォルトンが雑貨店を開いたところから始まった。当時の米国では、薄利多売方式や対面が売り方の主流であったが、次第にセルフ販売(購入したい商品を手に取り、自分で会計を行う方式)により商品を低価格で売る企業が増えてきた。今日では当たり前となっているこの手法を導入した企業を、ディスカウントハウスと呼ぶ。

 これを時代の転換点だと考えたサム・ウォルトンは、1962年に雑貨店を大型化。チェーンストアとしての「ディスカウントストア」という業態を確立させた。品揃えも雑貨に限らず、衣類や食料品など、当時から“よろずや”的な側面を持っていたという。そして、1972年には自社の流通センターをオープンした。

 やがて、1972年になるとウォルマートはニューヨーク証券取引所に上場。その後は会員制スーパーマーケット「サムズ・クラブ」をオープンしたり、内部専用の独自の衛星通信システムを完成させたりした。そして1988年、ついに同社は“店舗の最終形”といわれる業態「スーパーセンター」を開発したのである。

 スーパーセンターとは、ディスカウントストアとスーパーマーケットを一体化した、総合スーパーの小売業態だ。ウォルマートは、既存のディスカウントストアをスーパーセンターに転換するほか、最盛期には年間3桁の新規出店を行ったという。本書の著者は、ECが出現するまで「小売業界の進化は終わったのかもしれない」と考えていたほどに、この業態の集客力が凄まじかったと述べている。

 次の新たな業態は、同社が1998年にオープンした「ネイバーフッドマーケット」というもので、これは食品を中心に据えたディスカウント型のスーパーマーケットだという。店舗面積はさほど大きくないものの、この業態を展開したことには売上以外の目的があった。“サプライチェーン変革”である。

 店舗面積が巨大なスーパーセンターは、出店する場所に制約があった。しかし、面積を抑えたネイバーフッドマーケットなら、一定商圏内にいくつも出店することができる。これにより、ウォルマートは店舗を密集させることで自社配送センターの効率化を図ろうとしたのである。

 しかし、ネイバーフッドマーケットの店舗数はそれほど増えなかった。スーパーセンターがあまりにも成功してしまい、投資対象としてのネイバーフッドマーケットのプライオリティが小さくなってしまったためだと、本書は述べている。さらには、2010年代に突入するとプライオリティがデジタルへの投資にシフトしたため、本業態の新規出店はさらにスローダウンしてしまった。

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小売とサプライヤーの関係を変革したウォルマート

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この記事の著者

名須川 楓太(Biz/Zine編集部)(ナスカワ フウタ)

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