ラクスルとセイノーホールディングス(以下、セイノーHD」は、ジョイントベンチャー「ハコベル株式会社」を設立することを発表した。
これまで物流業界で積み上げられてきたセイノーHDのブランド・商業物流No.1の実績・顧客基盤と、ハコベルがマッチング事業/システム(SaaS)事業を通して培ってきたブランド・プロダクト・オペレーションの力を掛け合わせ、業界・企業間の垣根を超えた「共創・共生」を目指すオープンパブリックプラットフォームの実現を目指すという。
近年、あらゆるサービスのオンライン化・EC化が加速し輸配送ニーズが増え続ける一方で、労働環境や低賃金によるトラックドライバーの不足などを背景に「2024年問題(働き方改革関連法により、2024年4月1日からトラックドライバーに対して時間外労働の上限規制が適用されることによって生じる諸問題)」と呼ばれる“物流危機”が叫ばれている。
同時に、カーボンニュートラルへの強い要請や上がり続ける物流コストによって、荷主企業における課題感と負荷はますます高まっており、業界全体で“物流改革”を推進していくことが必須となっている。ラクスルは、このような社会課題を解決するため、物流プラットフォーム「ハコベル」を立ち上げ、輸配送のトータルソリューションを目的とし、ラストマイルから都市間の幹線輸送までを支えるマッチング事業と荷主企業に対して配送計画最適化・管理業務を行うためのソフトウエアを提供するSaaS事業を展開。
また、セイノーHDは“価値創造型総合物流商社”を標榜し、全国に展開する輸送網を基盤に「商業物流No.1」として顧客荷主数12万件超、発着合わせた取引先数80万件超などの強い実績を積み上げてきた。
物流業界に山積する多くの課題を前に、両社の強みが掛け合わされることによって、日本における効率的な物流ネットワークの実現、さらには業界・企業間の垣根を超えた「オープンパブリックプラットフォーム」の実現が可能になると確信し、ジョイントベンチャー設立の合意に至ったという。
ハコベルが創る「オープンパブリックプラットフォーム(O.P.P.)」とは
ラクスルは現状の物流業界では、荷主企業・サービス提供者ともに、自社とその顧客に最適化したシステムやオペレーションを構築してきたことから、「個別最適」に陥っている状況があると考えているという。その結果、企業間やバリューチェーン内で分断が起き、個社間での競争激化、サプライヤーの囲い込み、それによる価格競争が起きており、リソースの有効活用ができていないことが課題だと分析。
これからハコベルが創る「オープンパブリックプラットフォーム」は、バリューチェーンを広くとらえるとともに、顧客/サービス事業者、ハードウェア/ソフトウェア、既存産業/スタートアップなど、あらゆるステークホルダーの相互乗り入れ・巻き込みを前提とし、業界全体で物流を取り巻く課題に対処することを目指すとした。
この「オープンパブリックプラットフォーム」に多くのステークホルダーが参加・乗り入れることによって、下記のような状態を目指すという。
(1)多くのステークホルダーへのオープン化・相互乗り入れ
これまで個別最適で構築してきたサービスの相互乗り入れ強化、それによるデータ互換性の実現を目指す。さらには、既存事業者だけではなく新規参入者にも常に門戸が開けられている状態を実現する。
(2)顧客利便性の向上
サービスやデータの互換性により顧客利便性向上をはかり、それによって顧客の既存アセット・オペレーションと、データやテクノロジーの融合をはかる。
(3)効率化とグリーン物流の推進
蓄積されたデータを活用することによる遊休資産の利活用をはかる。その結果としての環境対応・グリーン物流につなげる。さらには、上記サイクルから創出されたサービスがオープンパブリックプラットフォームへ乗り入れるサイクルを回し続けることで、業界・社会の課題を解決する仕組みづくりを行う。
新会社については、社名を「ハコベル株式会社」として、設立は2022年8月1日を予定。株主構成は、「セイノーホールディングス株式会社」50.1%、「ラクスル株式会社」49.9%(8月8日予定)としている。