モノ作りを元気にするオープン・イノベーション-誤解と正しい活用法

『オープン・イノベーションの教科書』著者・星野達也氏、講演レポート

 『オープン・イノベーションの教科書—社外の技術でビジネスをつくる実践ステップ』著者、星野達也氏がビジネス書専門トークセッション「SYNQAブックセレクション」(イトーキ東京イノベーションセンター SYNQA主催)に登壇。技術仲介会社ナインシグマ・ジャパンの設立以降9年にわたり大手メーカー100社以上のオープン・イノベーション支援に従事してきた豊富な経験をもとに、その活用法を語った。

[公開日]

[講演者] 星野 達也 [取材・構成] 有須 晶子 [編] BizZine編集部

[タグ] オープン・イノベーション 事業開発

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オープン・イノベーションは研究開発スピードアップのカギ

 「オープン・イノベーションで、モノ作り企業を強くする」をミッションに、製造企業を中心に技術仲介業を展開するナインシグマ・ジャパン取締役の星野達也氏は、「オープン・イノベーションはメーカー企業の研究開発をスピードアップさせる武器」と言いきる。
 顧客ニーズの高度化・多様化が急速に進む一方で、自社リソースはそう早くは増やせない。このギャップを社外の知見で埋めようというのが、オープン・イノベーションの発想だ。

極論ですが、開発スピードを倍にしたら、開発時間を半分にできる。つまり同じリソースで2倍の開発ができる。時間をかけてでも自分たちで頑張る時代からスピードを重視して、必要があれば社外のリソースを使うという考え方に変化してきています。

 背景には、インターネットの普及による知識労働者の分散、中小・ベンチャー企業の技術力向上などもあり、2000年前後から技術仲介業の会社も増え、技術の流通は加速している。

オープン・イノベーションによくある誤解とは?

 この数年で日本でもオープン・イノベーションに取り組む企業が増えている一方、星野氏は日々の営業でまだ次のような誤解によく出合うという。

  • 「従来の連携と同じ」→「新しい組織との連携である」
    従来の産学共同やサプライヤー・グループ企業との連携は「想定内」であるのに対し、オープン・イノベーションは業界・組織・地域の壁を超えて世界中にパートナーを求め、最適な技術を探し出す。
  • 「アウトソーシングと同じ」→「インソーシングである」
    アウトソーシングはビジネスプロセスの一部の外部化だが、オープン・イノベーションは社外の技術を社内に取り込む「インソーシング」。技術は流出ではなく流入する。
  • 「費用がかかる」→「研究開発の費用対効果を高める」
    初期投資は必要だが、軌道に乗れば費用対効果は高い。P&Gは100件のオープン・イノベーションプロジェクトを実施した後、「1から自前で開発した場合に比べて半分のコストで済んだ」「3、4年かかっていた商品化が2年でできるようになった」と発表している。オープン・イノベーションの成果が出るのは、一般に3~5年後からである。

星野 達也星野 達也 氏(株式会社ナインシグマ・ジャパン取締役)
一般社団法人オープンイノベーション促進協議会理事。1972年、栃木県出身。東京大学工学部地球システム工学科卒業、同大学院地球システム工学科修了。修了後、大学院時代を過ごしたルレオ工科大学(スウェーデン)で客員研究員として研究を継続。専門はダイナマイトによる岩盤発破の最適化。1999年、三井金属に鉱山技術者として入社。2000年、マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。製造業界を中心に、経営戦略策定、新規市場参入、マーケティング、コストカットなど多数のプロジェクトに従事。

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