NTTデータとダイナミックマップ基盤は、コンソーシアムを通して、デジタル庁から「デジタルツイン構築に関する調査研究」を受託したと発表した。デジタル庁が目指すデジタルインフラの整備を進めるために構築するデジタルツインについて、具体的なユースケースでの実証を行いながら、必要となる仕様検討や整備手法の開発などに関する調査を行うという。
具体的には、情報処理推進機構に設置されたデジタルアーキテクチャ・デザインセンターが設計する「空間ID」と3次元空間情報基盤に関するアーキテクチャや同基盤の仕様を前提として調査を実施。ユースケースの具体化においては、ダイナミックマップ基盤は、時間軸を考慮した災害情報の統合・提供による計画支援、ヒト・モノが混在する複雑な建物内での移動・輸送支援、空間IDと建設データ(BIMなど)を連携させたサイバーフィジカルシステム、空間IDを活用した汎用ARビュワーによる地下埋設物などの可視化を実証するとしている。
NTTデータは、複数の事業者が保有する地下埋設物を3D空間上でインデックス化することで可能となる地下インフラマネジメントの高度化、および空間IDとひも付けられた人流データや環境センシングデータを活用したビル・地下の防災対応などの施設マネジメント高度化の実証を実施。両社は、当該実証に必要な空間情報を空間IDとひも付け、空間検索・分析を可能とする実証用基盤システムを個別に設計・開発するという。
空間IDを活用したユースケース実証例
複雑な建物内での移動・輸送支援
建物内の自律移動ロボットによる輸送サービスや、人のナビゲーションアプリに対して、店舗などの屋内POIやバリアー情報を空間IDにひも付け、協調領域データとして提供。当該データを複数の事業者が用途において活用することで、データ整備費用の削減やサービスの高度化・普及が見込まれるとしている。
地下インフラマネジメント
地下埋設設備を空間IDにより地下空間のインデックスとして管理。各事業者の地下埋設設備情報の相互参照を容易にし、埋設物照会業務の正確性向上・効率化、地下設備工事の安全性向上が見込まれるという。
同コンソーシアムは今後、これらの調査・実証を通じてデジタルツインの社会実装実現に向けた有効性を示すとともに、技術的課題、ビジネス上の課題抽出に取り組むとしている。