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EY、M&Aに関する最新調査レポートを発表 グローバルで活躍するCEOが直面する喫緊の課題を分析

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 EYは、最新のM&Aに関する調査レポート「The EY CEO Outlook Pulse October 2022」を発表した。

 同調査は、EYがグローバルで活躍する企業のCEOに調査を行い、760人の回答を分析。今後の見通し、課題、そしてビジネスチャンスなどに関する意識を調査したものだとしている。

 調査の結果、回答したCEOの43%が、新たなロックダウンやサプライチェーンへの圧力など、パンデミックに関連した混乱が、自社のビジネスにとって最大のリスクだと認識していることが明らかになったという。この傾向は、北・中・南米(43%)や欧州(41%)に対し、アジア太平洋地域(48%)において強く表れている。

 CEOが対応を進めている最も困難な事態については、回答者の35%が「地政学的な緊張」、34%が「インフレ」を、自社の成長に対する極めて重大なリスクとして挙げているという。

 インフレをリスクと挙げたCEOのうち、69%は「インフレが自社の業績と成長に悪影響を及ぼすもの」と回答。また、16%のCEOが、インフレを「自社の収益と利益率に対する最大の脅威」として受け止めているとしている。

 加えて、地政学的な緊張の高まりにより、回答者の95%が投資計画と事業の再構築に着手。地政学的リスクの状況が改善するまで、「計画されていた投資を延期」(43%)、「自社のサプライチェーンを再構成」(40%)、「事業資産を移転」(39%)という回答が多かった。なお、回答者の3分の1は、特定の市場での既存事業を撤退したり(30%)、計画されていた投資を完全に中止したり(29%)しているという。

 一方、過去12ヵ月に予定していたM&Aをキャンセルした直接的原因として、日本企業のCEOは「パンデミックによる混乱」(40%)を「地政学的な情勢」(20%)よりも影響が大きかったとしている。

「現時点では進行中のパンデミック関連の課題への対応が戦略的投資計画に関わる最大のドライバーとなっていますが、ウクライナ情勢を含む地政学的対応が2022年以降の計画を再考する要因となるでしょう。CEOが現在目前にしているグローバル経済は、彼らが過去の経験のみを生かして乗り越えられるものではありません。底流にあるリスクの重要度は地域や業界によって異なるかもしれませんが、現在企業が経済的および地政学的に最悪の事態に相対していることは明白です。CEOは、直面するリスク緩和手段は何か、また、自らのコントロールが及ばないことを理解しつつも、他業界からの二次的な影響の可能性も判断しながら行動することが欠かせません」(EY Japanストラテジー・アンド・トランザクション リーダー 梅村秀和氏〈以下、梅村氏〉)

リスク軽減のための戦略的投資、CEOの半数以上がM&Aを計画

 顧客を引き付けるために、「すべての製品とサービスのコアな部分としてサステナビリティを構築する」(39%)ことと、「テクノロジーを使用して顧客ロイヤルティーを向上させる」(34%)ことが、CEOが今後6ヵ月間の困難な状況を乗り切るために考えている、対応策の上位2つになるとしている。

 日本企業のみに絞った結果では、サステナビリティの構築と同じく、他事業への投資のための資産売却が同率(40%)という結果になり、次いで新たな成長のための隣接セクターの買収(38%)が続いた。また、日本企業は隣接セクターの買収は次のトランザクションの最重要ドライバーとしても挙げているという。

 加えて、半数以上(52%)が次年に買収実施を計画。回答者のほぼ半数(40%)は、投資を積極的・多面的に見ており、買収、売却、新しい合弁事業(JV)の設立や、戦略的提携のすべてについて検討している。

 次回の投資取引に限っては、回答者全体の21%が、既存のポートフォリオを強化し、新たな人材にアクセスするために、スタートアップ企業に投資することの必要性が、投資の根底にある推進要因の1位であると回答。これに対し、日本企業では新たなビジネスモデルと顧客基盤への移行のため(20%)と回答している。また、総合的な資本投資の増強や、他事業や隣接セクターへの投資のための売却などが今後の投資分野として、日本企業がグローバル全体の結果と比較して多いという結果になったとしている。

「今後の戦略的アクションとして、グローバル全体の回答(39%)と同様、日本企業(40%)も対応を1位に挙げているとおり、サステナビリティ―やESGは戦略決定の際の最重要項目として浸透してきたと言えるでしょう。本調査の結果の多くはマクロの観点からグローバルと日本で大きな違いは見られませんでした。グローバリゼーションによりCEOが直面しているビジネス課題は、国境や地域を越えてこれまで以上に相互に影響を受け合っていることが分かりました。一方、日本では政府が持続している低金利政策などが要因と思われる過去30年間で最低となる円安水準や、地政学的な懸念などから、特定地域から事業を撤退するなど、慎重なアプローチをとってきました。日本企業は、さらにクロスボーダーディールから自国での活動へとビジネスの重点をシフトするなど、グローバル経済の中で事業を展開する上で難しい局面に立っています。中長期的な成長機会の探求を続ける中、日本企業のCEOの多くは依然としてM&Aを、自社のケイパビリティとイノベーションの向上を達成するための極めて重要な手段と捉えていることが分かりました」(梅村氏)

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