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人的資本経営を阻む「障壁」と本質への「誤解」──デロイト トーマツが提唱する3つの課題突破アプローチ

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人的資本情報の開示が「検討から実行」に進まない理由

 デロイト トーマツ グループが、東京証券取引所プライム市場上場企業を対象に行った『人的資本情報開示に関する実態調査』。92社の経営企画や財務/経理、IR/広報、人事、そしてサステナビリティ関連部門に所属する、主に経営層・管理職層より得られた回答から、人的資本情報開示に向けた検討や取り組み、測定・開示の状況などについて明らかにしている。

 デロイト トーマツ コンサルティングで人的資本経営のコンサルティングを手掛けるマネージングディレクターの上林 俊介氏(以下、上林氏)は、はじめに「人的資本の測定・開示に向けた検討・取り組み状況」について調査結果を報告した。

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 調査によれば、人的資本情報の測定・開示に向けた何らかの検討・取り組みを実施している企業は、全体の86%。ほとんどの企業が、人的資本情報の開示に対し意欲を示していることがうかがえる。

 ただ、検討・取り組みを実施している企業の中でも、その進捗状況にはバラつきがあるという。まず、調査ではそれらの企業を大きく「検討フェーズ」「決定・実行フェーズ」の2つに分け、各フェーズにおける進捗状況の項目を以下のように分類。各項目における企業の割合を明らかにした。

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検討フェーズ
  • 人的資本情報の測定・開示に向けた検討(外部情報調査、社内現状分析など):58%
  • 自社にとって必要な人的資本情報を特定するための検討の開始:49%
決定・実行フェーズ
  • 自社にとって必要な人的資本情報の特定:7%
  • 自社が管理すべき人的資本関連指標(KPI)の設定:14%
  • 人的資本関連指標(KPI)について、自社が目指すべき状態(目標)を定義:15%
  • 人的資本関連指標(KPI)をモニタリングし、社内の施策決定に活用:14%

 この結果を見て分かるとおり、検討フェーズの項目については既に半数近くの企業が実施している。しかし、決定・実行フェーズの各項目を見てみると、いずれも低い割合に留まっていることが分かる。この結果について上林氏は、「検討から決定・実行に進む段階で、多くの企業が障壁に直面している」と語る。

 次に同氏は、「検討・取り組み状況の段階別に見た制約・課題」について調査した結果を紹介。それによれば、以下の3つに分類される項目を制約・課題に挙げる企業が多かったという。

  1. 開示方針・人材戦略の策定:「開示方針の策定」「指標を特定する上での、人材戦略の策定」
  2. 実施体制の構築:「実施する体制(実務者)」「データ収集・分析ができる人材・組織」
  3. データ収集・分析の仕組み:「システムやツールの整備」「データの収集しづらさ」

 3つの項目は、相互に関連している。「開示方針・人材戦略」は、KPIを検討する前提として策定する必要がある。「実施体制」の実現については、人事や経営企画、財務、IR、サステナビリティ関連部門、情報システム部門などをとりまとめ、連携させなければならない。また、「データ収集・分析の仕組み」においては、組織全体でデータの定義・標準化を行い、その上でシステムやツールを導入する必要があるだろう。これらを実現するのは、簡単ではない。

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名須川 楓太(Biz/Zine編集部)(ナスカワ フウタ)

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