Boxは、セキュリティ、コンプライアンス、プライバシーの法人利用基準を満たすAIモデルをBoxにネイティブに実装する一連の新機能「Box AI」を発表した。
Box AIは、インサイトの発見と共有、重要な問題に対する迅速な回答、Boxに格納されている組織のデータに基づくコンテンツ作成をこれまで以上に容易にするという。また、OpenAI社のAIモデルをBoxに統合し、Box上にあるコンテンツを理解し、新たなコンテンツを作成することが可能になるとしている。
Boxの共同創業者 兼 CEO アーロン・レヴィ(Aaron Levie)氏は、次のように述べている。
「私たちは、昨今の生成AIの発展により、エンタープライズ・ソフトウェアにおけるプラットフォームの変革期にいますが、エンタープライズ向けのコンテンツほど社会に大きな影響を与える可能性がある分野はないでしょう。今回の連携により、組織が保有するユニークなドキュメントやビデオ、プレゼンテーション、スプレッドシートなどの膨大な量のデータを分析し、合成する能力において、大きな改善がみられました。AIを組み合わせることで、コンテンツの価値を引き出し、すべての人がよりスマートに、より生産的に業務に取り組むことができます。コンテンツは 組織のもっとも重要なデータであり、Box AIによって真の業務改革の推進がはじまったところです」
Box AI で正しい答えを見つけ、業務効率を高める
Box AIは、ユーザーが必要な時に必要とする正確な情報を探し出すのを支援するという。プレビューで閲覧する際に、ドキュメントに関する質問をしたり、スプレッドシートからの重要な情報を引き出したり、プレゼンテーションを要約したりすることが、ワンクリックで可能に。組織のファイルと連携し、精度を向上させるという。新機能により、以下のタスクが実現できるとしている。
- 営業部門はBox AIを活用し、複雑な契約書に関する疑問への回答を得て、営業の効率を上げることが可能
- アナリストは、Box AIに長大な財務報告書を要約させることで、格付けの推奨に役立てることが可能
- 法務部門は、Box AIに契約書から重要な条項や用語、法的義務を引き出してもらうことで、レビューを早めることが可能
- オペレーション部門は、Box AIで予算から重要なポイントを抽出し、財務部門を待たせることなく、企業戦略の資料を更新することが可能
- カスタマーサービス部門は、Box AIを活用し、数百の顧客からのフィードバックからインサイトを抽出し、改善のための重要な領域を特定することが可能
Box AIで新しいコンテンツを容易に作成
Box AIは、ユーザーによる迅速なコンテンツ作成と、生産性の向上を支援。Box Notesの中で、ユーザーはゼロからコンテンツを作成したり、既存の情報から新しい資料を作成したりできるという。簡単な操作で、原稿やニュースレター、ブログ記事といった異なるトーン、長さ、スタイルの原稿を作成したり、Boxに格納されている情報をもとにしたアジェンダ、マニュアル、報告書を作成したりできるとしている。
- カスタマーサクセス部門はBox AIにより、一般的なオンボーディングの書類を特定の顧客固有のニーズにあわせて用意することが可能
- マーケティング部門は、Box AIにより、ブログ記事やウェブのキャッチコピー、キャプションの作成をスムーズに進めることが可能
- 広報部門は、Box AIにより、制限文字数内でテキストを要約し、自社の言葉でソーシャルコピーを作成することで、時間と労力を節約することが可能
- プロダクト部門は、Box AIというオンデマンドのサウンドボードを利用して、新製品のアイデア、名称、デザインに対するフィードバックを提供することが可能
- エンジニアは、Box AIを使ってスペックや要件を作ることで、製品開発のスピードアップにつながる、より価値の高い仕事に時間を割くことが可能
エンタープライズグレードのセキュリティ、プライバシー、コンプライアンスにAIを連携
Box AIは、 BoxのAI原則に従って10年以上開発しているフレームワークを基に構築されており、組織がサードパーティのAIモデルに接続できるようにプラットフォームの中立性を保ちながらも、優れたインテリジェンスモデルをコンテンツクラウドに適用することで継続的に機能強化していくと述べている。また、Box AIはBoxに組み込まれた権限によって管理され、ユーザーがデータを制御できるように作られており、ユーザーがアクセスすることを許可されたファイルやコンテンツのみを閲覧したり操作したりできるようにするという。
今後、Box AI はBoxの製品群全体に組み込まれる予定で、より複雑なユースケースに対応。たとえばBox AIを活用して、ビジネスのワークフローやタスクを自動化し、より迅速なビジネス成果を促進したり、ファイルの自動分類やコンテンツを保護するための権限を設定したりすることで、大規模なセキュリティの強化に対応し、カスタムAPIへのアクセスにより開発者エコシステムを改善することができるだろうと述べている。