ソフトバンクと慶應義塾大学SFC研究所(以下、SFC研究所)が設立した「デジタルツイン・キャンパス ラボ」は、デジタルツインを活用した自動運転バスにおける運行の高度化に向けた実証実験を、同大学の湘南藤沢キャンパス(以下、SFC)で開始した。
同実証実験では、同ラボが開発したデジタルツインプラットフォーム(以下、DTCLプラットフォーム)上で、建物の屋上に設置したセンサーの情報や信号機の灯火予測情報などを再現。SFC研究所が神奈川中央交通と共同で研究し、運行している自動運転バスの走行システムにその情報を提供するとしている。
また、屋外に設置したセンサーの情報などをDTCLプラットフォーム上で再現。それらの情報を自動運転バスに共有することで、自動運転バスの運行を高度化するとともに、快適で安全な運行を目指すという。
なお、この実証実験は、同ラボが2022年10月から取り組んでいる、物理空間(実際のキャンパス)と仮想空間(デジタル化したキャンパス)の相互連携による問題発見や課題解決、自己位置推定技術などの研究開発の一環で行うもの。同実証実験では、下記2つのユースケースの実現に取り組むとしている。
右折時の対向車検知
自動運転バスのセンサーだけでは、遠方から接近する車両の認識が困難なケースがあるとのこと。そのような状況で、建物の屋上に設置したセンサーの情報を通信を介して共有することで、車両だけでは認識できないエリアを補完し、車両が認識するエリアを拡張することが可能だという。
SFC内の右折ポイントにおいては、対向直進車の情報をDTCLプラットフォームからリアルタイムに取得可能。従来は運転士が目視で確認して手動で右折を実施していたが、同プラットフォームから情報を取得することにより、対向直進車がいなければ自動で右折するような運行へと高度化することが可能になるとしている。
信号機の灯火予測による車両の運行
自動運転バスにおいて、車両に設置したカメラで信号機の灯火情報を検知する場合、逆光などが原因でうまく検知できないなどの課題があるとのこと。今回、SFC周辺の信号機の灯火情報について、信号機を映した固定カメラの映像などをもとにAI(人工知能)による推定を行い、DTCLプラットフォームから取得できるようにしたという。
また、過去の灯火情報に基づいて、信号がどれくらいの時間で変わりそうかも予測可能。この情報を自動運転バスと連携することで、快適で安全な運行サービスの実現が可能になるとしている。
ソフトバンクとSFC研究所は今後、デジタルツイン・キャンパス ラボにおいて、先端技術を活用した次世代情報インフラの研究開発を推進していくという。