東日本電信電話(以下、NTT東日本)、プランティオ、タニタの3社は、都市型スマート農園の開発や、新規就農につながる機会の創出など、都市部における「食」と「農」と「健康」の課題解決を目的とした新たなアーバンファーミング事業に向けて食農事業で協業を開始する。
NTT東日本が有するICTを活用した営農支援の実績とノウハウ、通信環境の構築で培ったエンジニアリング力、プランティオの持つIoTを活用した野菜栽培の仕組みとシェアリング型農園運用のノウハウ、タニタの健康づくりや食のノウハウを組み合わせることで、新たな農体験を通じた地域活性化、健康寿命の増進、都市型スマート農園の開発をはじめとしたアーバンファーミングの事業化と全国展開を目指すという。
協業の第1弾として、タニタ本社敷地内に同事業のテストフィールド「タニタふれあい農園」を開設し、8月より実証実験をスタートするとしている。
実証実験の概要は以下のとおり。
都市型スマート農園の開発・有効性の評価
IoT/AIを活用した農園利用者の利便性向上
プランティオが開発したIoTセンサー「grow CONNECT」を活用。土壌の温度の積算をモニタリングするとともに、他の5つのセンサーデータを肉付けし、前後一週間の天候データと対比して予測するAI技術である「Crowd Farming System」と、専用のアプリ「grow GO」を通じて水やりや間引きのタイミングなどの栽培アドバイスを行う。テストフィールドでは、同アプリの評価と開発へのフィードバックを実施するという。
農園利用者のコミュニティを活性化させる付加価値の創造
grow GOは、農園の利用者同士がコミュニケーションを取れる機能も備えており、楽しみながら食と農と健康づくりに触れることが可能。また、収穫した野菜をタニタ食堂やタニタカフェのレシピをもとに調理して参加者に提供したり、バーベキューパーティーを開催したりするなど、コミュニティを活性化させるアクティビティを展開する。地域住民を対象にタニタふれあい農園におけるコミュニティやアクティビティへの参加を募り、参加者の行動態様や事業性を検証するとしている。
意識することなく取り組める健康コンテンツ
タニタふれあい農園で利用者が行うアクティビティ(水やりや土寄せ、追肥、間引きなどの農作業)は、それと意識することなくからだを動かすエクササイズになるとみているとのこと。健康増進のアプローチ手法として、その可能性を検証するという。
周辺地域への誘客・消費促進など地域循環モデルへの発展
タニタふれあい農園において栽培した野菜の近隣飲食店での消費、アプリを通じた栽培活動による特典の付与、周辺地域の施設への誘客など、地域経済圏の活性化を図る仕組みづくりを検討。利用者や導入企業のみに負担が集中することのない、持続可能な農園運営と都市部営農に貢献するモデルを目指すとしている。
3社は今後、同実証実験の結果をもとに新たな食農体験を通じた社会課題のソリューションに関するノウハウと実績を蓄積し、アーバンファーミングの事業化へ向けた具体的な検討を進めていくという。