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イノベーションを加速させる「知識の新結合」

第5回

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組織的な知識の獲得

 以上、イノベーションの前提となる新結合について、知識という視点で触れてきた。さまざまな知識を獲得・蓄積して新しく組み合わせることで、イノベーションは実現へと向かい始める。ただし、知識の蓄積によって成果を出すには、一定の時間がかかってしまうという特徴もあった。

 そこで有効なのが「組織的な学習」という考え方だ。組織の強みは何だろうか?1つは、リソースを共有して活用できることにある。知識の特徴を再度確認すると、組織的な学習で知識を獲得・共有することの利点が浮かび上がってくる。

  1. 持ち運び可能 ⇒ 組織の中で自由に共有できる
  2. 同時に利用できる ⇒ 組織の共通言語として利用できる
  3. 一定の蓄積が必要 ⇒ 協働で蓄積することで、1人の場合よりも効果的に成果を出せる

 第一回の記事でも紹介した天才的イノベーションの場合であれば、1人のカリスマが獲得した知識に、「イノベーションの実現」が依存する構造になる。組織の中ではなく個人に知識が蓄積されているだけのため、天才が去った瞬間にイノベーションはとまる。「組織的な学習」で知識の蓄積を実践していくことで、イノベーションの前提となる新結合を行う環境がつくられることとなる。

 本稿内の出典・参考文献は以下にまとめます。

  1. Drucker, Peter F. Post-capitalist society. HarperCollins, 1994.(邦訳:『ポスト資本主義社会』上田敦夫訳, 2007, ダイヤモンド社)
  2. Dyer, Jeff, Hal Gregersen, and Clayton M. Christensen. The innovator's DNA: Mastering the five skills of disruptive innovators. Harvard Business Press, 2011.(邦訳:『イノベーションのDNA』櫻井祐子訳, 2012, 翔泳社)
  3. Garvin, David A. "Building a learning organization." Org Dev & Trng, 6E (Iae)274 (1985).
  4. Leonard-Barton, Dorothy. Wellsprings of knowledge: Building and sustaining the sources of innovation. Harvard Business Press, 1995.(邦訳:『知識の源泉』阿部孝太郎&田畑暁生訳, 2001, ダイヤモンド社)
  5. Schumpeter (1934), The Theory of Economic Development.
  6. Seaman Jr, John T., and George David Smith. "Your company's history as a leadership tool." Harv Bus Rev 90.12 (2012): 44-52.
  7. Sony Japan,『Sony History
  8. 池谷裕二, 2001『だれでも天才になれる脳の仕組みと科学的勉強法』ライオン社.

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この記事の著者

柏野 尊徳(カシノ タカノリ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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