“非デザイン領域へのデザインの浸透”を目指す「デザイン・イネーブルメント」
デザイン・イネーブルメントは、本村氏が所属するゆめみが提唱する方法論。先に引用したハーバート・サイモンの言葉をもとに「主体が望む、より良い状態を自ら少しずつ作っていくことの繰り返しをできる状態にする」と独自の定義を設けている。
では、具体的にデザイン・イネーブルメントとは、どのような活動なのか。本村氏は「非デザイン領域へのデザインの浸透」だと述べる。
「デザイン・イネーブルメントでは、デザイナーが専門的に担っていた『スモールデザイン』の領域から、非デザイナー人材が担う『ビッグデザイン』の領域にデザインを浸透させます。これは言い換えると『非デザイナー人材がデザインを活用できる状態になること』ともいえるでしょう。マーケティングやテクノロジーなどの専門的な知見を有している非デザイナー人材が、デザインを活用できるようになることがデザイン・イネーブルメントの目標です」
さらに、デザイン・イネーブルメントでは、企業活動のさまざまな状況でデザインを活用できる状態を目指す。具体的には「戦略」「財務」「技術」「人事」「法務」の5つの領域と「プロジェクト」「プロダクト・サービス」「事業」「経営」の4つのシチュエーションで、デザインが活用できる仕組みづくりを行う。例えば、「財務」領域の「プロジェクト」の場面では、「プロジェクト予算の管理と財務報告」にデザインのアプローチを活用できる仕組みや体制を築く。こうした仕組みを組織の隅々に浸透させることで、非デザイン領域にデザインが浸透し、デザイン・イネーブルメントが実現すると本村氏は語った。