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取締役会での主な検討事項、「サステナビリティ」が45.7%─HRガバナンス・リーダーズ調べ

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 HRガバナンス・リーダーズは、有価証券報告書(以下、有報)などの記載事項改正にともなう新規項目の開示内容に関する調査を実施し、結果を公表した。

 同調査では、TOPIX100の構成企業のうち、2023年3月31日以降の事業年度に該当する有報を調査時点で発行する企業81社を対象に、有報改正にともなう新規記載事項である「サステナビリティ」「人的資本」「コーポレート・ガバナンス(取締役会の活動状況、内部監査など)」の開示情報を分析しているという。

サステナビリティ

サステナビリティの諸課題に対応する監督・執行体制(「ガバナンス」の記載事項)

 サステナビリティの諸課題を監督する体制として、96.3%の企業で「取締役会」が監督する旨を明記しており、9.9%の企業が監督サイドの委員会として「サステナビリティ委員会」を設置していた(図表1)。取締役会以外の監督機関の議長(トップ)は「代表取締役社長またはCEO」が最も多く、「社外取締役」が次に並ぶ。

 一方、執行体制では「サステナビリティ委員会」を設置していることを記載する企業は72.8%となり、執行機関のトップは「代表取締社長またはCEO」が最も多く、「その他の社内役員」が次に続いた。

【図表1】サステナビリティの諸課題に対応する監督および執行体制<br/>[画像クリックで拡大表示]
【図表1】サステナビリティの諸課題に対応する監督および執行体制
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気候変動に対する企業の取組み状況(「戦略」の記載事項)

 気候変動に対する取り組みとして、「シナリオ分析」を実施している旨の開示が80.2%の企業でみられた(図表2)。シナリオ分析の実施を開示している企業のうち、気温上昇1.5度を想定してシナリオ分析を実施している旨の開示を行っている企業は60.0%に上る。一方、財務インパクトを具体的な数字を用いて開示している企業は17.2%にとどまった。シナリオ分析を実施している企業と比較して、財務インパクトを具体的な数字を用いて開示している企業は少数にとどまったという。

【図表2】気候変動に対する取り組み<br/>[画像クリックで拡大表示]
【図表2】気候変動に対する取り組み
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 温室効果ガス(GHG)排出量の開示では、Scope3について実績値、目標値のいずれかを開示する企業は53.1%に達した(図表3)。一方、実績値、目標値の両方を開示する企業は19.8%にとどまるほか、GHG排出量についてScope1、2、3いずれかの実績値を開示する企業51社のうち、第三者保証に言及する割合は25.5%にとどまった。

【図表3】GHG排出量の開示状況<br/>[画像クリックで拡大表示]
【図表3】GHG排出量の開示状況
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人的資本

開示義務3指標(女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女間賃金差異)の開示状況

 開示義務3指標(女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女間賃金差異)の実績値の開示は提出会社での開示が主な形態となっている。一方、女性管理職比率については連結ベースで実績値の開示を行う企業も一定数存在し、国内子会社のみの連結ベースで22.2%、海外子会社を含む連結ベースで16.0%に達している(図表4)。

 開示義務3指標以外においては、21.0%の企業が連結ベースでの開示を行っていた。全体として実績値の開示は多いものの、目標値を開示している企業の割合が低い傾向にあった。ただし、提出会社の開示で女性管理職比率の目標値を開示する企業の割合は40.7%と、他の2指標より開示する企業が多い傾向がみられたという。

【図表4】開示義務3指標の開示状況<br/>[画像クリックで拡大表示]
【図表4】開示義務3指標の開示状況
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人的資本などの戦略・ガバナンスの記載状況

 人的資本などに関する戦略の記載状況を見ると、「人的資本経営(経営戦略と人財戦略の連動の考え方)」について記す企業は61.7%と多いものの、「経営戦略を実現するための人財像」および「人財の育成方針」に関する記載を行っている企業はそれぞれ25.9%、17.3%にとどまる(図表5)。また、経営戦略を実現するための「人財ポートフォリオの開示」を数値で示した企業は2.5%だった。企業が開示する割合が高い事項と低い事項に差があり、サクセッション・人財ポートフォリオなど(図表中:グレー)を開示している企業の割合が低く、従業員の働きやすさ・ダイバーシティ(図表中:濃紺)に関しては開示している企業の割合が高くなっている。

 人的資本などに関するガバナンス体制を見ると、人財開発委員会や人事委員会などの人的資本全般の議論に特化した会議体を設置している旨の記載がある企業は16.0%、CHROまたはその機能を設置している旨の記載がある企業は18.5%となった。一定数の企業が人的資本に特化した会議体またその機能を持ったリーダーシップ人材を配置していることが分かるという。

【図表5】人的資本などに関する戦略の記載状況<br/>[画像クリックで拡大表示]
【図表5】人的資本などに関する戦略の記載状況
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コーポレート・ガバナンス(取締役会、内部監査など)

 取締役会の開催回数は「13~16回」が最も多い結果となった。取締役会での具体的な検討内容については、「経営計画(中期・長期)」について記載していた企業が67.9%、「サステナビリティ」「人的資本」について記載していた企業がそれぞれ45.7%、16.0%だった(図表6)。一方、東証が2023年3月末に上場企業に要請した内容とも関係する「事業ポートフォリオ」「株主との対話」「資本効率性指標」に関する記載は、9.9%、6.2%、2.5%と少数にとどまった。

 また、内部監査における記載事項について、デュアルレポーティングライン(内部監査部門が代表取締役のみならず、取締役会ならびに監査役・監査役会に対しても直接報告を行う仕組み)の記載があった企業は69.1%となった。サステナビリティやESGに関する視点について触れていた企業も4.9%と少数ながら存在したという。

【図表6】取締役会の開催回数および取締役会での主な検討事項<br/>[画像クリックで拡大表示]
【図表6】取締役会の開催回数および取締役会での主な検討事項
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