富士通とオランダのDelft University of Technology(以下、デルフト工科大学)は、量子技術を基盤とする先端コンピューティング技術の発展に向けた産学連携拠点として「Fujitsu Advanced Computing Lab Delft」を同大学に設立し、両者の連携を強化していくことで合意した。同連携拠点は、国内外における大学の中に研究拠点を設け、富士通の研究員が大学内に常駐または長期的に滞在しながら産学連携の活動を行う「富士通スモールリサーチラボ」の取り組みの一環として設立するものだという。
Fujitsu Advanced Computing Lab Delftは、デルフト工科大学とオランダ応用科学研究機構(TNO)が共同で設立した量子技術研究機関QuTech内に設置。2020年10月から共同で研究を進めてきたダイヤモンドスピン量子コンピューティングの研究開発を加速することを目的とする。加えて、実世界の問題への応用を目指した量子アプリケーションの開発を進め、計算が大規模かつ複雑で課題が多い流体計算分野に量子コンピューティングを適用する流体シミュレーション技術の実現を目指すとしている。
連携拠点の概要は以下のとおり。
設置期間
- 2024年1月25日~2028年9月30日まで
設置場所
- デルフト工科大学(QuTech)応用科学学部(所在地:オランダ・デルフト市)
研究内容
- ダイヤモンドスピン量子ビットを利用した量子コンピューティングの基礎研究と開発:ダイヤモンドスピン量子ビットを用いることで、高いスケーラビリティをもたらすモジュール型量子コンピューティングのブループリントを構築
- 量子コンピューティング技術の流体力学分野への応用に関する研究:膨大な計算量と高速・大容量メモリの必要性から、従来技術では実現が困難であった数値流体力学を可能とするアプリケーションを開発。様々な条件下での流体力学シミュレーション向けの量子アルゴリズムを構築することで、モビリティ分野における空力設計などの実問題を用いた実証実験を通じて有効性を示していく