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デロイト、「The Circularity Gap Report 2024」の内容を公表

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 2024年1月、デロイトとCircle Economy財団は共同で「The Circularity Gap Report 2024」を公表した。

世界の循環性の改善は見られず、資源採掘量は増加

 サーキュラーエコノミーをテーマとした記事や議論の量は、5年前と比較し約3倍に増加し、サーキュラーエコノミーへの注目は高まっている。しかし、世界の循環性は依然として低下し続けている。世界で消費されるリサイクル材の割合は2018年には9.1%だったのに対し、2023年には7.2%に減少、一方でバージン材の使用量は減少していないという。同時に資源消費は増加し続け、過去6年間で世界では5,000億トン以上の資源が消費されており、20世紀に消費された全物質量とほぼ同量だとしている。世界のバージン材の採掘・使用量は増加傾向にあり、将来的に資源の供給が世界の需要に追い付かないことが危惧され、サーキュラーエコノミー推進の必要性が高まっていると述べている。

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循環ソリューションはプラネタリー・バウンダリーの超過を抑える

 地球規模での人口増加や経済規模の拡大の中で、資源の過剰消費なども含めた人間活動に伴う地球環境の悪化は深刻化しており、地球の生命維持システムは存続の危機に瀕しているという。その中で、プラネタリー・バウンダリーという概念のもと、人々が地球で安全に活動できる範囲の限界点が定義されている。プラネタリー・バウンダリーの概念に基づくと、地球環境を構成する9つの項目のうち、「気候変動」「生物多様性の損失」「土地利用変化」「淡水利用」「生物地球化学的循環(窒素とリンの循環)」「新規化学物質による汚染」の6つの項目が許容範囲を超えていると分析されている。

 昨年発行した「The Circularity Gap Report 2023」の分析では、変革的な循環ソリューションが、プラネタリー・バウンダリーの「気候変動」「土地利用変化」「生物地球化学的循環(窒素とリンの循環)」「海洋酸性化」の項目におけるプラネタリー・バウンダリーの超過リスクを減少させることを示したという。

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 その上で、The Circularity Gap Report 2023は、許容範囲を超えた項目をプラネタリー・バウンダリー内に収めるためには、世界の温室効果ガスや廃棄物の発生の大部分を占める「建設分野」「食品・農業分野」「製造・小売分野」「モビリティ・輸送分野」の4つの分野の循環型への移行が重要であるとして、企業や都市、国家が取り組むべき16のソリューションを以下の通り定めている。

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循環性の向上に向けて、政策、金融、市民の一体となった取り組みが重要

 これに対し、The Circularity Gap Report 2024では、人間開発指数(HDI)の上昇と比例して物質消費量も増加し、環境負荷が高まっていると分析しており、将来的には、人々の利益やWell-beingを最大化しながら、環境負荷を最小限に抑える循環型の経済モデルが必要であると提言している。

 また、人々のWell-being向上や世界の発展を最優先にしながら、世界の循環性向上に向け、バリューチェーンの変革を促すためには、政策、金融、市民の一体となった取り組みが必要となるとしている。政府や業界リーダーが、循環性向上の取り組みにインセンティブを与えると同時に、循環性を悪化させる取り組みにペナルティを与える政策や枠組みを採用し、製品やサービスの「真の価格」を生み出すための、財政政策や取り組みがカギになるとしている。製品やサービスの「真の価格」には、社会的コストや環境コストが含まれ、循環ソリューションに資金を提供し、循環性向上への公正な移行に向け、従業員のスキル向上へのトレーニングへの支援などの取り組みが求められるという。

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SHIFT国、GROW国、BUILD国それぞれの地域ごとに優先すべき取り組みは異なる

 The Circularity Gap Report 2024では、高所得国のSHIFT国、中所得国のGROW国、低所得国のBUILD国に分け、国のカテゴリーごとに優先すべき分野や適切なソリューション、政策やファイナンス、雇用の面から必要な施策や取り組みを特定し、分析した。

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 たとえば、SHIFT国で建設分野の循環性を向上させるためのソリューションとしては、既存の建物に既に固定されている材料の再利用や改修、循環性の高い資材を優先的に利用することが挙げられる。これらのソリューションを加速させるためには

  • 政策:リノベーション、改修、再利用等の循環型ソリューションへのインセンティブを与える政策
  • 金融:循環性の高いプロジェクトに対するグリーンボンド等の発行による財政的な支援
  • 市民:同分野の労働の魅力を高めることで業界の人手不足に対処するとともに、循環性向上に向けたスキル開発を行う

ことなどが有効だと述べている。

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