日立製作所(以下、日立)は、名古屋鉄道(以下、名鉄)と、名鉄グループの情報システム会社であるメイテツコムにおける社内文書の有効活用による業務効率化に向けて、生成AIを活用した技術検証を実施。生成AIを活用した要点抽出と一定レベルでの適切な回答の出力による、回答精度の向上が確認できたという。
本検証は、管理業務における業務効率化を目的とした生成AI活用の可能性や有用性を確認すべく、2023年10月から2023年12月まで、名鉄、メイテツコムと、日立「Generative AIセンター」が協働して推進したもの。複数のユースケースのうち、生成AI活用の実現可能性や業務効率改善の効果が高く見込まれるものとして、名鉄の70年以上にわたる社内報や創業120年にわたる社史に関する情報検索を効率化するユースケースと、過去のヒヤリハット情報を踏まえた安全な業務遂行・対策の検討を支援するユースケースについて優先的に評価・検証を実施した。
本検証で日立は、形式の異なる文書ごとにデータの取り込みを工夫するとともに、余分なノイズを落とすなど適切な前処理を行い、知識データベースを作成。さらに、入力された質問に対して、知識データベースから適切な文章が抽出できるように、基準となる検索手法の選択や生成AIが回答しやすい指示に言い換えるなど、プロンプトエンジニアリングを組み込む技術支援を行っている。これにより、質問者の問い合わせに応じた一定のレベルの回答が生成AIから得られることがわかったという。
業務に合わせた知識データベースを作成したことで、社内報/社史の情報検索のユースケースでは、スキャンデータや縦・横が混在するテキストデータなど形式の異なる資料でも、適切に要点を抽出して一定のレベルの回答が得られた。また、ヒヤリハットのユースケースについても、十数万件分のデータを統合することで、単一データだけでは得られない包括的な回答が可能となり、業務経験の浅い従業員でも重要なインサイトを得られる可能性も明らかになったとしている。