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生成AIで日本が強みを発揮する「領域」と「課題」──慶應大学 宮田氏、AISI所長 村上氏らが語る

一般社団法人Generative AI Japan主催「第1回会員企業サミット」レポート・前編

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 ChatGPTの登場は、全世界に大きなインパクトを与えた。そこから始まった生成AIブームは今もまだその勢いを増し続けている。以降ビジネス界でも、その可能性やリスクについて多くの議論と実践が進んできた。2024年7月16日、一般社団法人Generative AI Japan主催の「第1回会員企業サミット」が都内で開催され、セクターや分野の垣根を超えて日本の有識者・実践者が集まり、今後の生成AI活用について熱い議論が交わされた。本記事では、サミットの模様を前後編に分けてお届けする。

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生成AIはインターネット登場以上の社会変化を引き起こす

 まず、イベントに先駆けて、Generative AI Japan代表理事の宮田裕章氏(慶應義塾大学医学部 教授)が開会の挨拶を行った。

 宮田氏は、生成AIの登場当初、インターネットと同レベルの社会変化が生まれるだろうと予想していた人が多いと述べる。しかし、1年以上が経過した今、それ以上の変化が起こると考える人が増えている。これまでのAIブームと異なり、生成AIは間口が広いため、あらゆる人々を巻き込み、生き方、働き方、人と社会の関係に大きな変化をもたらしていくだろう、と同氏は語る。

 彼は「それぞれの企業や分野、専門を超えた繋がりこそが、新しい未来の可能性になる」と強調し、今日の対話が生成AIを未来に繋げる大きな力になると信じていると述べた。

宮田裕章
一般社団法人Generative AI Japan(略称「GenAI(ジェナイ)」) 代表理事 宮田裕章氏/慶應義塾大学医学部 教授

村上明子氏が語る、AIの2つのリスク

 次に、「AIセーフティ・インスティテュート(AISI)」の所長/Executive directorである村上明子氏(損害保険ジャパン株式会社)が基調講演を行った。AISIは、昨年末にその設置が表明されたのち、今年2月に設立された。AIの安全性に関する国内のハブとして機能しつつ、海外の動向を日本に伝えるという役割も果たしている。

 村上氏は、長らく日本アイ・ビー・エムの東京基礎研究所で自然言語処理の研究をしてきたほか、SNSを活用して災害情報を収集するテキストマイニングのプロジェクトにも携わってきた。現在は、損害保険ジャパンでCDaO(チーフ・データ・オフィサー)を務めており、AIの「冬の時代」から現在までの20年以上にわたって、基礎研究者や開発者、ユーザーといった多様な立場から生成AIと関わってきた経験を持つ。

 同氏は、講演に先駆けて、安全性の定義を「許容できないリスクがないこと」であるとして、AIに関するリスクを紹介した。これらは主に、ハルシネーション(事実とは異なる内容の出力)や誤判定、偽情報などの「技術的リスク」と、プライバシーの侵害や政治活動への悪用、不正目的などの「社会的リスク」の2つに大別される。

 こうしたリスクに対応した関連法の整備が急がれる中、AIの進化は早く、法律が追いつかないこともあると村上氏は言う。また、AIについては利用者による悪用の可能性も考慮しなければならないため、公共セクターだけでなく、事業者や利用者を含めた、全てのステークホルダーが安全性を考慮する必要があると強調した。

村上明子
AIセーフティ・インスティテュート(AISI)所長/Executive director 村上明子氏

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雨宮 進(アメミヤ ススム)

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