CQを学んでも自分ゴト化できない理由
宮森千嘉子氏(以下、宮森):東レさんの社員として日本で働いている方は、国籍に関わらず「ホフステードの6次元モデル」における「不確実性の回避」が高い傾向にあったというお話をしました。それは、東レさんの文化に合うように育ててきた結果なのだと思います。
しかし、海外から来られた方からすると、アダプテーション(適応)というのは日本のやり方を押し付けるだけでなくミューチュアル(相互的)なものであるべきだという考えもあるのではないでしょうか。
髙林和明氏(以下、髙林):そうですね。本当の意味でのダイバーシティ&インクルージョンを訴えていかなければいけないですね。
宮森:東レさんでも4年間CQの講座をやらせていただいており、そこでお会いする皆さんには変化を感じます。
髙林:研修を受けた人たちはみな、「変えなければならない」と感じているようです。しかし、「自分から変えていけ」と言っても難しいというのが実情です。
宮森:毎年講座の最後に「グローバルリーダーとして、ご自分は何をされますか」と聞いてきました。皆さん素敵なことをおっしゃるのですが、「そのような立場になったら」という条件付きなんですよね。
髙林:待ちの姿勢で、自分ゴト化していないのでしょうね。自分が先頭になって変えていくという覚悟が大事なのですが。
宮森:覚悟が持てないのはなぜでしょうか。
髙林:“保身”だと思いますね。「Innovation by Chemistry」というコーポレートスローガンの通り、元々はイノベーティブで新しいものが次々と出てくる会社だったはずです。それが徐々に“自由”よりも“管理”が勝るようになり、今ではいわゆる“良い子”な社員が増えています。
宮森:やはり「不確実性の回避」の高さが影響しているようですね。対立が起きても、それを建設的なものにして進めていけるような、良き組織文化を作っていく必要があります。
髙林:そのためには、CQの高い人を増やさなければなりません。
外野として見ていたり本を読んだりするだけではわかったことになりません。宮森さんの講座で疑似体験したり、社外の人たちと交わったりすることで、自分たちと他者がどれだけ違っているかを腹の底から感じるからこそ変化が起きると思います。