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競争優位性を構築する組織カルチャー変革

マレーシア味の素 大澤氏に聞く、多民族国家での組織文化変革──「自律」と「共創」のリーダーシップ

ゲスト:マレーシア味の素 大澤理一郎氏(前編)

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 戦略の実現に最も影響を与える要素の一つ「組織文化」。何となく大きな影響があることを認識しながらも、抽象的な概念にとどまっていた「組織文化」をどのように扱えばいいのか悩んでいる企業は少なくありません。組織文化変革の鍵となるCQ (Cultural Intelligence Quotient:カルチュラル・インテリジェンス指数)を紹介する本連載。違いに橋を架け、違いをポジティブなパワーにするための力、CQを活用し多くの組織文化変革を実現したアイディール・リーダーズ株式会社 Chief Culture Officer(CCO)の宮森千嘉子氏がホストとなり、高いCQを持つリーダーであり組織文化変革を実現した企業家にお話を伺います。今回のゲストは、マレーシア味の素株式会社の大澤理一郎氏です。前編では、大澤氏のフランス赴任で得た価値観の転換、そして多民族国家マレーシアでの組織文化変革の挑戦について深掘りします。

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フランス赴任での“学び”が価値観の転換につながった

宮森千嘉子氏(以下、宮森):まず、大澤さんご自身について伺いたいのですが、最初の外国赴任がフランスで、大変なご苦労を経験されたと聞いています。その後、日本の味の素本社でグローバルビジネスを統括され、2023年から現在はマレーシアに赴任されています。フランスでの経験についてお聞かせください。

大澤理一郎氏(以下、大澤):マレーシアは2回目の海外赴任ですが、最初の海外赴任は2006年から2011年までのフランスでした。それ以外は22年間日本勤務で、フランスは未知の世界でしたね。ただ、幼少期にアメリカでの生活経験があり、英語でのコミュニケーションには多少の自信がありました。赴任先がパリだったこともあり、“欧米”とくくり「英語で対応できれば、アメリカのときのように何とかなるだろう」と楽観的に構えていた部分もありました。しかし、実際はフランス人との文化や価値観の違いに直面し、34歳にして久しぶりに大きなカルチャーショックを受けましたね。

宮森:どのような点で違いを感じられたのでしょうか。

大澤:フランス人の仕事の仕方や価値観が理解できず、最初の2年間は苦しい毎日でした。私から見て「怠けている」と感じる行動にも、“理由”があることを知るまでに時間がかかりましたね。たとえば、彼らは家族や自分の時間をとても大切にします。自宅の修理も自分で行うし、夏休みにはまとまった時間を確保して家族と過ごす。その理由を問い直し、深く考えていくうちに、彼らの価値観と行動が一貫していることが理解できるようになりました。

宮森:そのように「Why」を深掘りする姿勢が、現地の方々との関係構築にもつながったのでしょうね。

大澤:はい。彼らの考え方を尊重できるようになると、フランス人からも受け入れられるようになりました。自分が相手を好きにならなければ、相手も心を開いてくれないということを改めて知る機会になりましたね。赴任3年目以降は、フランスの良さをより深く理解できるようになり、視野が広がるのを感じました。今では、人生観を改めさせられるほど大きな学びだったと思っています。

宮森:フランスでの学びは、日本に戻られてからの仕事にどのように影響しましたか?

大澤:家庭やプライベートを大切にするという考え方は、日本での管理職時代に大きく影響しました。部下が家族を優先できるような環境作りを心がけるようになったのも、その一例です。ただ、自分自身はまだ仕事中心の生活が続いてしまい、葛藤を感じることもありました。

宮森:そういった思いの中で、次の海外赴任への期待も膨らんでいったのでしょうか。

大澤:そうですね。フランスから帰国して次の赴任まで10年以上かかりましたが、海外での新しい挑戦を心待ちにしていたところに、マレーシア味の素への赴任が決まりました。そこで、フランスとは対極のマネジメント課題に直面することになります。

マレーシア味の素株式会社 社長 大澤理一郎氏
マレーシア味の素株式会社 社長 大澤理一郎氏(提供:大澤氏)

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この記事の著者

皆本 類(ミナモト ルイ)

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