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イノベーション迷子に贈るグラフィックガイド

「“とりあえず”始めて“とりあえず”終わらせていない新規事業プロジェクト」を生まない2つの方法

第2回

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「とりあえず終わらせていない」プロジェクトたち

 社内に、とりあえず終わらせていないままの新規事業プロジェクトはありませんか。

 これは役員のナントカさんの案件だから、終わらせたらその役員が失敗したということになるのではないか、と考えて誰も触れられないプロジェクトの話や、新規事業部門のリーダーが部門メンバーの日々の苦労や熱意の大きさを知っているからこそ終了の決断ができない、という話を耳にします。

 ある企業では社員からの新規事業提案制度を行っていますが、長くても1年半後に収益化の見込みがないとなれば、社長判断でそのプロジェクトを終了することにしていると聞きます。終了したプロジェクトの責任者に今どう思っているのか聞くと「私のプランはうまくいかなかったけれど、挑戦できてよかったし、終わりにしてもらえてよかった」と言っていました。社長曰く、「関係先に謝りにいくのが仕事だから」「新しいことを発案してくれる人材にはどんどん次のチャレンジをさせなければいけない。同じプロジェクトでずるずると続けさせてはいけない」とのことです。

 とはいえ、この事例は主力事業の隣接領域で、比較的短期で結果が見込める種類のプロジェクトだからこその迅速な判断かもしれません。

 では、主力事業から遠い、長期の投資が必要なプロジェクトはどのように考えるべきなのでしょうか。

 「長期の投資が必要だから」「技術確立の段階だから」「遠い未来への投資だから」でこのまま続けていいのでしょうか。長い年月を要する基礎研究ならばもちろんそれで問題ないはずですし、それがゆくゆくは競争力につながるでしょう。しかし、そうでないなら、テックベンチャーの資金調達が参考になるでしょう。彼/彼女らの目指す未来までは遠い道のりがありますが、その状態でも資金調達ができています。なぜでしょうか。

 それは、目指す遠い未来を描きつつも、1.5~2年スパンの次回調達までに何を目指すのかを投資家と約束し、それを実行しているからです。だから「この人たちはロードマップを描き、実行する能力がある」と認められて資金を得られるわけです。

 翻って大企業では、本人も新規事業部に残りたいと希望しているし、予算は一応まだあるし、リーダー自身も嫌われ役にならなくていいし、既に関係先もあるし……と現状維持を求めてしまいます。しかし、誰かが終わらせなければなりません。そのときには推進者にバツをつけるのではなく、挑戦を称えて次の挑戦に送り出さねばならないのです。

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覚悟のある担当者とそれに呼応するリーダーがいないと始まらない

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この記事の著者

三吉 香留菜(ミヨシ カルナ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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