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新規事業開発マネジメントの要諦

新規事業開発マネジメントの要諦──VUCA時代にイノベーションの再現性を高めるには

第1回

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 本連載では、日本の大企業からベンチャー・スタートアップまで幅広い企業の新規事業開発の現場に携わってきた筆者の経験や視点から、VUCA時代と称される現代の経営における新規事業開発やイノベーション創出への取り組みをご紹介。現場の新規事業開発の責任者や担当者だけでなく、それを牽引しマネジメントする立場にある方々にとっても重要なエッセンスについて、新規事業開発プロセスの全体像や各フェーズにおける課題や解決アプローチを考察していきます。第1回となる本稿では、本連載で考察や解説を行う内容の全体像をご説明します。

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日本企業に新規事業やイノベーションが必要な理由

 ここ数年、日本ではこれまでにないほど企業における「新規事業」や「イノベーション」の必要性が声高に叫ばれ、それに呼応するように各社の意欲・関心が高まっています。

 マグニフィセント・セブン(Alphabet(Google)、Apple、Meta(旧Facebook)、Amazon、Microsoft、Tesla、NVIDIA)など世界を席巻するテックジャイアントを筆頭にした海外企業の躍進を横目に、時価総額や売上・利益などの企業評価指標だけでなく、GDPなどの国家全体の指標も含め、様々な面で伸び悩んだ平成という時代は、「失われた30年」とも揶揄されてきました。平成が終わり、令和という新しい時代を迎えた今、日本企業は未来に向けた経営の舵取りについて再考しなければならないタイミングを迎えていると言えるかもしれません。

 現代は、VUCA(V:Volatility(変動性)/U:Uncertainty(不確実性)/C:Complexity(複雑性)/A:Ambiguity(曖昧性))時代とも呼ばれ、非常に変化が激しく、迅速で、先行きが不透明な状況下でも企業としての成長戦略を描き、実行していかなければなりません。1つの事業や製品・サービス、ビジネスモデルの短命化が益々加速し、これまで会社の屋台骨を支えていた事業の業績が急激に悪化して危機に瀕することも日常茶飯事と言っても過言ではありません。

 このようにプロダクト・ライフサイクルが急速に早まりつつある中で、企業は新たな事業の開発や創出に取り組み、次の柱を生み出すことができなければ、継続的な成長はもちろんのこと、現状維持すらも難しい厳しい環境に立たされています。特に日本は少子高齢化や人口減少に伴い、国内の既存市場が今後確実に縮小していくトレンドにある中、日本企業の成長戦略の軸として、グローバルに加えて新たな産業や市場の創出を担う「イノベーション」が重要な位置づけとして据えられるのは必然です。

 一方で、スコット・D・アンソニー氏も著書の中で述べている通り、「必要に迫られる前に革新せよ、イノベーションの緊急性とイノベーション実施の能力は逆相関の関係にある」、すなわち、イノベーションの緊急性が高まれば高まるほど、イノベーションを実施するための能力は低下します。既存の事業が順調だから、今はまだ余裕があるからと先延ばしにするのではなく、むしろ既存の事業がしっかりと利益を生み、必要性や緊急性が高くない時こそイノベーションへの挑戦に取り組むべきなのです。

 「イノベーション=新規事業」というわけではありませんが、本連載では主に新規事業開発を通じたイノベーション創出や企業・組織変革という観点に主眼を置いて解説します。

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この記事の著者

北嶋 貴朗(キタジマ タカアキ)

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