SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

ビジネスアーキテクト養成講座

ビジネスアーキテクチャーとは何か?

第1回

  • Facebook
  • X
  • Pocket

そもそも「ビジネスアーキテクチャー」とは何か?

 「アーキテクチャー」という言葉は、もともと建築学で使われていたものであり、建築物の構造や設計工法を意味していました。その後、コンピューター時代の到来とともに、コンピューターに関する構造や設計全般に使用され、現在では様々な分野で使われるようになっています。

 ビジネスにおいて、顧客やプロダクトといった物理的に形のあるものから、経営理念や戦略といった抽象的な概念に至るまで、様々な言葉が使われています。「ビジネスアーキテクチャー」とは、ビジネス活動に必要な物理的に形のあるものや抽象的な概念などの構造を、論理的かつ体系的に表現するためのフレームワークです。

 ビジネスアーキテクチャーに近い言葉で、「エンタープライズアーキテクチャー」という言葉があります。事業体のビジネスプロセスや情報システムの標準化を進め、効率的な業務オペレーションの運営を実現するために、「エンタープライズアーキテクチャー」という設計思想が10年ほど前から提唱されるようになりました。エンタープライズアーキテクチャーは、ビジネスアーキテクチャー、データアーキテクチャー、アプリケーションアーキテクチャーおよびテクノロジーアーキテクチャーという4つの層より構成されています(図1)。

エンタープライズアーキテクチャー 図表1:エンタープライズアーキテクチャー                        エンタープライズアーキテクチャーが、現在の日本においてどの程度実践され効果を挙げているかは定かではないのですが、少なくともエンタープライズアーキテクチャーは2つの前提を暗示しています。
 1つ目は大規模な事業体(政府や大企業)を対象としていることであり、2つ目は情報システムの構築に関係していることです。いずれにせよ、ビジネスアーキテクチャーという最も重要な領域について、深い洞察を提供している文献や事例は日本ではほとんど存在していないのが現状です。
 ITコンサルタントのなかには、「ビジネスアーキテクチャー=ビジネスプロセス」と捉える方もいますが、私たちが考えるビジネスアーキテクチャーはもっと幅広い領域を包含しています。

 また、エンタープライズアーキテクチャーにおいて捉えられているビジネスアーキテクチャーとは、以下の点において異なります。

  1. 中小企業や起業家を含むあらゆる規模の事業体においても活用できること
  2. 情報システムの構築を必ずしも前提としていないこと(もちろん情報システム構築のためにも役立ちます)
  3. 現在のような情報化社会およびネットワーク経済の時代に対応できること
  4. ビジネスユーザーがビジネスアーキテクチャー構築のイニシアティブを取ること

 これから提示させていただくビジネスアーキテクチャーは、世界中で幅広く実践されている方法論やフレームワークをベースに統合や編集を行ったものです。もっとも、不完全な部分あるいはこれから進化すべき部分もあろうかと思いますので、皆様の積極的なご意見をお待ちして進化させようと考えております。

次のページ
ビジネスアーキテクチャー1:ビジネスモデル

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
ビジネスアーキテクト養成講座連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • Pocket

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング