2026年4月17日、大日本印刷が従業員1,000名以上の企業でサステナビリティ・環境経営・CSR部門の担当者1,004名を対象に、「脱炭素経営におけるScope3削減の課題とボトルネック」についての調査結果を発表した。ESG対応強化が経営上の前提条件として定着しつつあるなかで、Scope3算定への本格着手が増加している一方、実務面での課題が鮮明となっている。

調査によると、温室効果ガス削減の主目的は「SBT・カーボンニュートラル目標達成」(78.8%)、「ESG評価・CDPスコア向上」(51.1%)、「競争力強化」(46.9%)の順となった。企業は社会的責任の遂行のみならず、投資家や取引先評価の向上を重視している。温室効果ガス算定範囲については、「Scope3まで着手している」担当者が48.9%と最多で、「Scope1・2のみ」は35.0%だった。
Scope3対応企業のうち、「削減目標の設定・進捗管理」を実施している割合は24.5%にとどまり、「自社施策の実施」や「排出量の算定のみ」という企業も相当数見受けられた。年間予算では「1億円以上」が23.0%を占める一方、「把握していない」との回答も25.4%に上り、多くの現場で予算管理が難航している実態もうかがえる。
Scope3削減体制は「全て自社内で対応」が57.0%と最多。「自社主導で一部専門家を活用」が39.3%となっている。外部支援を利用する理由には「専門知識の不足」(48.3%)や「SaaSツール導入・運用体制構築」(47.9%)などが挙げられ、単なるデータ可視化にとどまらず、実効的な削減施策に結びつけるためのノウハウ確保が課題となっている。
サプライチェーンとの連携については、「サプライヤーへの削減要請の難しさ」(47.3%)、「グローバル基準や法規制への対応負荷」(45.0%)、「コスト・予算確保」(43.4%)が主な障壁として挙がった。サプライヤーから一次・二次データを「同程度活用」が54.2%、「一次データ中心」は35.8%と、データの質向上にも課題がある。
サプライヤーへの働きかけは「排出量算定ガイドライン提供」(41.8%)、「説明会・ワークショップ開催」(39.5%)、「見える化ツールの提供」(37.1%)が上位となった。しかし、サプライヤー側の「算定ノウハウ・体制不足」(39.5%)や「負担増・反発への懸念」(33.8%)、「データの正確性への不安」(31.8%)といった理由から連携推進が困難な現状も明らかになった。
今後は、情報提供や説明会などの伴走支援を強化し、サプライチェーン全体で協働を推進する体制構築が重要となる。Scope3削減が経営課題として定着する中、サプライヤーとの本質的なパートナーシップ構築が今後の大企業経営企画部門の主要なテーマとなることが示唆される。
p>【関連記事】・DNP、Brandismと協業し「アクティベーションプランニング」を提供開始
・アビームコンサルティングとGXコンシェルジュ、サステナビリティ機能高度化サービスを提供開始
・PwC Japan、サステナビリティ影響を可視化するホリスティック評価サービスを開始
