「定量的なアプローチ」から「定性的なアプローチ」へ-臨床心理学の知見へ
佐宗:
その“転換後”のお話、変貌ぶりをもう少し具体的にお聞かせ下さい。
宮井:
昔は“教科書どおり”に、企画書には冒頭で結論を書いていましたが、今は結論をあえて書かないようにしています。クライアントからすると、結論を提示しない企画書なんて、とんでもない話と思われるかもしれません。でも、「最後にお客さんに言って欲しいこと、その姿」を想像して、おこがましいかもしれませんが、その方向をイメージしてもらうため途中までしか結論を書かないようにしました。自分が「こうだったらいいな」と思うビジョンを直接言わずにクライアントさんにイメージしてもらうためには、どういった情報提供が企画書のなかに必要なのか。そんな視点で企画書を書いています。
一番いいのは、皆まで言わず結論をイメージしてもらえる企画書です。この企画書を落ち着いて読むと「結論は書いてない」けれど、「これってこういうことでしょ!」の“こう”がお客さんから言ってもらえる。そんな企画書を常に目指していています。その企画書に必要な情報としては、“消費者の生の声”が一番効くんですよね。定量的な数字ではなく、イメージをしてもらうために必要な定性的な消費者の生の声が極めて有効だなと思っていて、定性調査にどんどんのめり込んでいるという状況ですね。