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丸井グループとヤッホーブルーイングが語る共創 誰かの“好き”がファンを増やし経済を駆動する

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戦略を変えなければ市場から退場させられる

佐藤:お客様のぞっこん度を上げるためには、プロダクトだけでなくそれを作っている企業のことも好きになってもらう必要があります。そのための活動として注力しているのがファンイベントです。長野県にある醸造所にファンの方々を招いたり、飲み会を開催したりしています。

2024年に北軽井沢で開催したファンイベント「よなよなエールの超宴」の様子
2024年に北軽井沢で開催したファンイベント「よなよなエールの超宴」の様子

佐藤:最近は、有志のファンの方々がイベントを主催してくださることもあります。「よなよなエールのおいしさを広めたい」「ヤッホーブルーイングのミッション達成に貢献したい」との思いから、会場を借りて、チケットを販売して、司会も務めてくださるんです。このようにして、共創の仲間を増やしています。

丸橋:伊藤さんにお聞きします。「実店舗を通じて丸井グループという企業を好きになってほしい」という動機から「エポスカードを通じてお客様の“好き”を応援したい」という動機に重心が変わりつつあるとのことですが、変化のきっかけを教えてください。

伊藤:最大のきっかけはコロナ禍だったと思います。小売業が軒並み危機的な状況に陥り、生活者の価値観も大きく変わりました。これらの変化に対応しなければ、市場から退場させられてしまいます。生き残るための知恵を絞った結果が、あらゆる人の“好き”を応援するプラットフォームを目指す戦略でした。

丸橋:続いて佐藤さんにファン作りのヒントをお聞きしたいと思います。ヤッホーブルーイングは、なぜ熱狂的なファンがあれほど多いのでしょうか?

佐藤:「こうすれば会社がもっと良い方向に進むと思うよ」「こうすればビール市場が盛り上がるよ」などの助言をくださるお客様がいらっしゃいます。「なぜそこまでコミットしてくれるんだろう?」と私も不思議に思っていたのですが、そのような方々は当社のミッションを知って共感してくださっているんです。プロダクトの魅力だけでなく、ミッションを含めた企業の指針も発信する意義はここにあります。

「同じ船に乗りたい」と思われるために

丸橋:ユーザーの態度変容には4段階あると言われています。1段階目が説明、2段階目が納得、3段階目が共感で、4段階目が共犯です。共犯とはつまり「あなたと同じ船に乗りたい」という意思を指します。まさにぞっこん度5の態度ではないでしょうか。

伊藤:当社で発行している「ヘラルボニーカード」は、4段階目の人を乗せる船の役割を果たしているかもしれません。このカードには、障害を持つアーティストの活動などに、利用額の0.1%分のポイントを寄付できる仕組みが備わっています。寄付と聞くとハードルを感じますが、ヘラルボニーカードを持てば日々のお買い物を通じて福祉に関与することができるのです。

丸橋:両社のお話をうかがっていると、関係人口を含めた屋根の大きさを感じます。

佐藤:ぞっこん度が高い方の中には、スーパーやコンビニの陳列棚でよなよなエールを見かけるたび缶の向きを正してくださる方や、飲食店で隣のテーブルの人に「よなよなエール飲んだことある?」とおすすめしてくださる方がいて(笑)。従業員と同じマインドを宿した方が数多くいるという意味では、屋根が大きいと言えるかもしれません。

丸橋:トライアンドエラーを重ねる中で「この方向性は違うかも」「前のほうが良かった」と立ち止まる瞬間もあるはずです。お二人はそのような場合にどう対処していますか?

伊藤:とにかくお客様の声に耳を傾けるようにしています。「お客様は何て言ってるんだっけ?」と問う文化が社内に根付いているんです。お客様の行動からインサイトを導き出し、仮説を立てて実行する──この流れを常に意識しています。

佐藤:私も同じです。コロナ禍でリアルイベントをしばらく実施できなかった頃、顔見知りのお客様がSNS上でよなよなエールにあまり言及しなくなりました。コロナ禍が明けたタイミングで会いに行くと「最近ヤッホーつまんなくない?」「大企業っぽくなって昔のやんちゃな雰囲気が消えてしまった」とおっしゃったんです。私はその内容をメールで改めて送っていただき、社内のメンバーに共有しました。

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採用や従業員エンゲージメントにも効果が

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この記事の著者

渡辺 佳奈(ワタナベ カナ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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