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越境者-振り子の思考のイノベーター

ジャンルの「越境者」とは―takramのとりあえずの仮説

takram design engineering 渡邉 康太郎 氏インタビュー:後編

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アイデアを牽引する言葉の力、言葉が交差する多様性

――渡邉さんが、普段仕事心がけていることや気をつけていることは何かありますか?

 社内でブレストしているときに、他の人の発想の傾向を読み解いて、この場にいない人の思考のモードに切り替えるということはよく実践します。例えばまわりにエンジニアが多いときは、あえて「言葉遊びモード」に頭を切り替えて、そこからアイデアのヒントを導き出したりします。内容が同じことであっても、言葉やキーワードが変わることでアイデアが広がることもあります。

 例えば、スマイルズやスープストックトーキョーの代表を務める遠山正道さんから聞いたお話があります。彼が運営しているPASS THE BATONは、「格好いいリサイクルショップがない」という着眼点、震災後の経済停滞期ならではの「リサイクルショップ」という業態など、複合的な切り口が発端にあります。でもこれでいける、というきっかけを感じたのは、何よりも「PASS THE BATON」というブランド名を思いついたときだったそうです。愛用品を、その品物にまつわるストーリーを添えて、次の人に渡す。バトンを託す、というひとことの表現で、一度にブランドのコンセプトが伝わります。キーとなる言葉によってブレイクスルーが生まれ、一気に世界が広がることがある。デザインやビジネスの実践においても、やはり言葉の力は大きいと実感します。

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