セミナーレポート UX戦略フォーラム対談シリーズ

ジェフ・サウロ氏が語る米国における「UXの投資対効果」とは?

対談:Measuring U ジェフ・サウロ氏 × 篠原 稔和氏 【後編】

ソシオメディア社が主催するイベント「UX戦略フォーラム(UXSF)」に登壇するゲストとともに「UX戦略」を解明していく本連載。今回は、「ユーザーエクスペリエンス(UX)の計測・測定」を専門とする米Measuring Uの代表であり、UXに関する数々の著書(いずれも未邦訳)や論文の著者としても著名なジェフ・サウロ氏を迎えた対談の後編をお送りする。その後編では、UX測定のジェフ氏のたどってきた経歴の話から、日本のUXの現況に関する印象を聞いた。特に、国内組織において課題となっているUXのROI(投資対効果)に関して、米国でのこれまでの経緯から現況、そして具体的な取り組み方法までを詳しく解説してもらった。

[公開日]

[語り手] 篠原 稔和 ジェフ・サウロ

[タグ] ビジネスモデル デザイン思考 ビジネスIT 事業開発 企業戦略 UX メトリクス

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UX測定の背景にある「シックスシグマ」

篠原(ソシオメディア株式会社 代表取締役、以下、篠原): 今後、日本でも、UXデザインやUXリサーチのことと、統計の手法を活用したUXの測定や解析のこととを横断する職制が増えていくと思うのですが、その際の一つのロールモデルとして、ジェフさんがどのようなバックグラウンドで今に至っているのかを教えていただけますか。

ジェフ・サウロ(Measuring U 創業者兼代表、以下、ジェフ): 最初にユーザビリティのことを知ったのは学生時代のことで、卒論を書いていた時に当時のアドバイザーからユーザビリティのコンセプトを学びました。その頃は、ブラウザのNetScape1.0がリリースされたばかりで、Webの初期の時代の頃でした。その時、統計学の定量分析の1項目として、「ユーザビリティテスト」を知ったのですが、当時は定性調査の一つとしての捉え方でした。
そして、卒業後にGEに入社し、製造業の職種に従事した時に、統計学を活用した「シックスシグマ」を知り、どのように製造業における品質管理を行うかについて徹底的に学びました。その中で、アカデミックの一分野だと思っていた統計学と実務とを融合させることができる、ということを強く感じたのです。当時、統計学とユーザビリティとが一緒に語られることはありませんでしたが、その後、統計学と計測の考えをUXにこそ適用すべきだ、と確信するに至りました。

篠原:キャリアの中にGEがあって、かつシックスシグマを学んでおられるのですが、GEでのシックスシグマに基づく体験がベースになっている、といえるでしょうか?

Measuring U ジェフ・サウロ(Jeff Sauro)/篠原 稔和 ソシオメディア株式会社 代表取締役

ジェフ: はい、強く影響を受けていると思います。特に、GEでの体験は、何かを改善したいという時には必ず再現可能にすること、また計測するプロセスをフレームワークとして捉えることなど、現在に至る大事な考え方の基礎をもたらしてくれました。シックスシグマは何十年にもわたった品質管理や経営手法の集大成ですので、これは「人間の行動を計測する」上でも適用すべきだ、とごく自然に考えるに至りました。

篠原:その後、Intuit、PeopleSoft、Oracleなどソフトウェア会社での経験を積まれていますが、その頃の経験はどのように今につながっていますか?

ジェフ: GEの後は、Webが爆発的に広がっていた頃でもあって、3年間ほどベンチャー企業で働いていました。その後、Intuitに移ってユーザー中心の手法についていろいろと学ぶ機会を得ました。そこへ、非常に幸運なことに、新しいCEOとしてGEからスティーブ・ベネット氏が移籍してきた年だったのですが、スティーブはシックスシグマをIntuitにも導入したのです。GEで私が課題としていたことを、今度は全てソフトウェアに適用できる、という非常に恵まれたタイミングと環境に身を置くことができました。そして、Oracleではその続きとして、より大きな企業であり、かつBtoBの世界で更にこの考え方を発展・継続していったのです。

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