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AIエージェント時代の事業と経営

生成AIが人類史上2度目の認知革命である理由──任せるタスクの棲み分け、背景知識による大幅な精度向上

ゲスト:株式会社Algomatic 代表取締役CEO 大野峻典氏

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「多元性(プルラリティ)」から生成AI時代の社会を考える

栗原:話題を少し転換しますが、生成AIやAIエージェントなどの議論の際に、「単一性(シンギュラリティ)」に対する「多元性(プルラリティ)」というキーワードが語られます。プルラリティをどのように捉えられていますか。

大野:たとえば、多数決のような従来型の意思決定システムでは、結果が51対49の場合、ほぼ半数近くにも関わらず49の側の意見を却下しなければいけませんでした。その点、生成AIなら、51と49を調和させながら、双方にとって望ましい解を導き出すことが可能になるかもしれない、という話と理解しております。

画像を説明するテキストなくても可

栗原:プルラリティと生成AI。非常に相性が良いように思うのですが、うまく言語化できません。

大野:先ほども述べましたが、生成AIによるインパクトは「コスト革命」です。今後はコストやリソースに制約されないことで、解決できる課題が増えるでしょう。

 こうしたなかでは、従来は採算が合わないからと実行できなかった営業やマーケティング、採用などのアクションが可能になるはずです。たとえば、マーケティングでは、本来はユーザーごとにカスタマイズした広告を配信するなど、極限まで個別最適化したマーケティングコミュニケーションが理想です。しかし多くの場面において、そうしたアクションはコストの観点から非現実的でした。結果、個別最適を一定程度は妥協し、ユーザー像をシンプルにしたり、いくつかのセグメントに粗く分けたりすることでアプローチしていたわけです。

大野峻典

栗原:必要性もわかっているしやり方もわかるが、時間やお金というコストに見合わないタスクが今までもあった。今までは、多少の精度は犠牲にしても、概ね間違っていない推測やパターン化を行っていたということですね。

大野:まさにそうです。生成AIを活用すれば、たとえば、これまでコストがかかっていたコンテンツを、安価かつ大量に制作できるようになるかもしれない。それができれば、より多くの場面で、個別最適化したアプローチが可能になります。つまり、従来であれば拾われていなかった個別ニーズを踏まえたアプローチが実現するかもしれません。

栗原:なるほど。さきほどの51対49の話につながりますね。ただ、人間が実行するよりも、生成AIが実行したほうが、ユーザーの繊細なニーズを汲み取れるというのは面白いですね。

大野:おっしゃるとおりです。歴史的な観点を踏まえると自然なことだと思います。たとえば、馬車による移動と自動車による移動のどちらが私たちのニーズに寄り添っているかといえば言うまでもないでしょう。テクノロジーは決して冷徹で素っ気ないものではなく、従来の手法では汲み取れなかった私たちの繊細な想いや要望に寄り添ってくれるものなのです。生成AIの進化とともに、社会もビジネスも、私たちにとってより望ましいものに姿を変えていくと私は考えています。

栗原:非常に学びの多いお話でした。次回は「アポドリ」の事業責任者で、執行役員 ネオセールスカンパニーCEOの池田晴紀さんにお話をお聞きします。

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この記事の著者

島袋 龍太(シマブクロ リュウタ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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