SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

Biz/Zineクローズアップ

脱スタートアップ!企業成長のためのミッション、パーパス、ビジョン、バリュー策定

  • Facebook
  • X
  • Pocket

 不動産賃貸領域のDXを推進する企業として、2012年に創業したイタンジ。創業当初から「テクノロジーで不動産取引をなめらかにする」というミッションは存在していましたが、パーパスやビジョンは後から言語化しました。スタートアップ企業が成長して次のフェーズへ進むためには、ミッション、パーパス、ビジョンを明確に定め“MPVドリブン”で事業を展開することが不可欠です。本稿ではイタンジの代表である私が、パーパスやビジョンを明確化した理由と、明確化のプロセスをご紹介します。

  • Facebook
  • X
  • Pocket

スタートアップから不動産インフラへ

 イタンジでは「テクノロジーで不動産取引をなめらかにする」をミッションに掲げ、不動産業界に向けた様々なサービスを提供しています。

 不動産業界は、紙・電話・FAXといったアナログな手法が多く残る業界です。その中で、イタンジは業界に根差したプロダクトを開発することにより、取引に関わる人々の業務負荷を軽減するとともに、入居者やオーナーなどのエンドユーザーにとってもスムーズな取引の実現に取り組んでいます。

 私たちが提供するプロダクトは、単なる業務効率化の手段にとどまらず、業界全体の構造的な課題にアプローチしています。複雑な業務フローをテクノロジーで再設計し、不動産に関わるすべての領域とデータがつながることで、新しい価値を生む──そのような「なめらかな不動産取引」の世界を実現するためのプロダクトは、日本各地の不動産会社様から利用いただけるようになりました。その結果、イタンジは現在“スタートアップ企業”から脱却し“不動産のインフラ”としての役割を担うべきフェーズにあると考えています。

 2023年に私がイタンジの3代目の代表に就任した際、真っ先に取り組むべきだと感じたのが、会社の存在意義を言語化することでした。「経営とは何か」「会社とは何か」といった考えを自分なりに整理する中で、ミッション、パーパス、ビジョンは単なるスローガンではなく、組織のすべての判断や行動の前提となるべきものであると強く感じました。

誰が経営者になっても同じ方向へ進めるように

 代表が代わることで会社の方向性や存在意義まで変わってしまっては、組織としての一貫性や信頼は保てません。イタンジのような成長フェーズにある組織ではなおさらでしょう。方向性を明文化しておかなければ、事業の領域が広がるにつれ、運営や開発の方針を定める判断基準がブレやすくなるからです。

 影響は社内だけに及びません。採用や他企業との協業の場面でも、ビジョンの明確さは大きな意味を持ちます。「ともに実現したいと思える世界観がこの会社にある」「このビジョンの実現に自分も関わりたい」という共感が仲間を集めるからです。逆にビジョンが曖昧な場合、仲間の結束力や持続力を弱めかねません。ビジョンは、ともに歩む仲間を見つけるための磁力でもあるのです。

 個人ではなく理念に根差した会社にするためには、ミッション、パーパス、ビジョンの策定と浸透は避けて通れませんでした。誰が経営を担っても同じ世界観に向かって進み続けられる「芯」を持った存在であり続けたい。その思いが、ミッション、パーパス、ビジョンの言語化を始めた原点です。

次のページ
パーパスとビジョンの棲み分けに苦戦

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
Biz/Zineクローズアップ連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

永嶋 章弘(ナガシマ アキヒロ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • Pocket

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング