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イントラプレーヌ探訪

女性が新規事業にチャレンジするメリット 執行役員に就任したLIFULL秋庭さんのキャリアを紐解く

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 企業の中で新規事業の開発・グロースを担う女性リーダーにスポットを当てる本連載。ホストを務めるのは、サイバーエージェントやcybozu.netなどで数々の事業を立ち上げてきた椿奈緒子さんです。「新規事業はキャリアアップの近道」と語る椿さんが、ゲストのキャリアや事業開発プロセスを深掘り。まだまだ多いとは言えないイントラプレーヌ(女性イントラプレナーの意)のロールモデルを紹介します。第一回のゲストは、LIFULLの秋庭麻衣さんです。

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入社1年目で妊娠・出産を経験

椿:私と秋庭さんの出会いは2014年頃、秋庭さんが社内の新規事業プランコンテストで優勝した頃ですね。当時は女性のイントラプレナーがほとんどいなかったので、数少ない同志の存在が心強かったです。

メンタリング 代表取締役 椿 奈緒子さん
メンタリング 代表取締役 椿 奈緒子さん

椿:あれから10年以上が経った今、新規事業プランコンテストを実施する大企業は増えたものの、女性イントラプレナーの数は依然として少ない印象です。ただ私、新規事業はキャリアアップの一番の近道だと思うんです。プロジェクトを立ち上げた実績にもなりますし、結婚や出産などを機に生活が変わっても、事業責任者の立場なら自身でコントロールできる部分は多いじゃないですか。女性が新規事業にチャレンジするメリットを、抜擢する側にも手を挙げる側にも知ってほしいと思い、この連載をスタートしました。

 秋庭さんは新規事業の責任者として活躍されたのち、2025年10月にLIFULL創業以来初の女性執行役員に就任されました。改めて、現在に至るまでの歩みをお話しいただけますか?

秋庭:私は2004年にLIFULL(旧ネクスト)の新卒1期生として入社しました。当時の従業員数は100名以下でしたから、元々ベンチャー志向の強い学生ではあったと思います。

LIFULL 執行役員 HRソリューション事業部⾧ 秋庭 麻衣さん
LIFULL 執行役員 HRソリューション事業部⾧ 秋庭 麻衣さん

秋庭:入社1年目で妊娠・出産を経験したのですが、育児休暇を終えて復帰するときに大きな不安を感じました。同僚が寝る間も惜しんで働く中、子育てと仕事を両立する自信がなかったからです。

 ただ、いずれ会社が大きくなれば、子育てをしながら働く従業員も増えるはずです。世間でも待機児童やM字カーブ(※)の問題が取り沙汰されていたため「自社で働く人の子育てと仕事の両立をサポートしよう」と考えました。全社員に呼びかけてワーキンググループを立ち上げたのが復職後のことです。子育て支援制度の策定などに奔走しました。

※女性の労働力率が、結婚・出産期にあたる年代で一旦低下し、育児が落ち着いた時期に再び上昇する現象のこと

新規事業にチャレンジするも業績悪化で断念

秋庭:復職後に配属された人事部で、新卒採用や人事企画、組織開発を担当しながらワーキンググループの活動を続けること約8年。グループ長やマネージャーなどの役職も経験して日々を忙しく過ごす中、ある疑問が湧いてきました。「新卒採用で出会う学生はチャレンジしているのに、自分自身はチャレンジしているのか?」と。新規事業の立ち上げに踏み出したのはその頃です。

 LIFULL創業者の井上が主宰していた経営塾に参加したら「次回までに3ヵ年の事業計画を作ってきて」と言われました。必死で作成して井上を相手に壁打ちを重ね、半年後に社内の新規事業提案制度「SWITCH」へ応募したところ、優秀賞をいただいたんです。

椿:どんな事業案だったんですか?

秋庭:保育園と保護者をつなぐシステムです。今でこそアプリを介した連絡が主流ですが、2011年当時は手帳を介した手書きのやりとりがスタンダードでした。両者の負担を減らす目的で約1年間のフィジビリティスタディ(※)を実施したのですが、そもそもパソコンを設置している保育園が少なく、手書きの温かみを求める保護者の声もあって難航しました。

※事業化の可能性を調査すること

 そんな折、LIFULLが初の減収減益に陥ったんです。事業化の話は流れ、私は人事部の管理職として業績の回復に努めました。業績が回復したのは2014年。新規事業を創出する機運が高まったタイミングで事業案を再び作成しました。

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紆余曲折を経て生まれたママの就労支援サービス

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この記事の著者

渡辺 佳奈(Biz/Zine編集部)(ワタナベ カナ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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