“意味のある”実験方法を確認しておく
プロトタイプやパイロットを制作・稼働させた後で失敗してしまうと、敗因の特定が困難になる。問題は、パッケージ、価格、機能それとも信頼性だったのか?こうならないよう、大がかりな実験の前に、小規模なテストで変数を1つずつ確認していこう。“良い”実験のポイントを4点まとめておく。
- 期間に制限を設ける-長期的な目標へ向かう途中の計画立案と目標設定には、時間的な制限も含めておく。
- 1回の実験で検証するのは1つの変数-1回のテストに複数の変数があると、実験結果の分析が困難になってしまう。
- 前の実験で学んだことは次の実験に生かす-毎回、前の実験から学んだことをその次の実験に生かしながら前進していくこと。
- 実験の中止をいとわない-実験が失敗したら、いったんストップし、失敗の原因を考えること。そもそものアイデアが悪かったと気づくこともあるかもしれない。
多方面で仮説を立てる
図表2は、新規事業への参入を企画する際に、仮説を立てるべき主要なカテゴリーを示している。上段はエンドユーザー(ニーズ、支払い意欲など)、ソリューション(技術上の問題、外部との提携など)、利益構造(価格、開発・営業コストなど)、流通チャンネル(拡大意欲、必要なインセンティブなど)、下段はそれらに関連する競争要因(顧客層、機会獲得の可能性)、組織体制(アイデア承認、資源配分など)、成長ポテンシャル(次の事業につながる可能性、長期的な競争優位など)である。
このように幅広い分野にわたって仮説リストを作ろう。目安としては、新規事業プロジェクトの開始時点で100?150の仮説を立てられれば十分だ。重要なのは、仮説に対してどの程度の知識に依拠していて、どれほど確信が持てるか、間違っている可能性はどの程度なのかなども確認することだ。そのうえで、アイデアの将来性にあまり確信が持てない場合は、アイデアを殺してしまうリスクが最も高い仮説から検証を始めること。根本的な問題が解決されていなければ、時間と費用をかけてより些末な問題をテストしても仕方がない。