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トリドールは“心”的資本経営へ 省人化と機械化の流れにあえて逆行する理由

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 トリドールホールディングスは2025年9月17日(水)に、同社の新たな経営思想「心的資本経営」に関するメディア説明会を開催した。本稿ではその内容をレポートする。

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飲食業界のビジネス環境

 創業40周年を迎えるトリドールホールディングス。創業社長の粟田貴也氏は冒頭、飲食業界を取り巻く環境について説明する。

トリドールホールディングス 代表取締役社⻑ 兼 CEO 粟⽥貴也氏
トリドールホールディングス 代表取締役社⻑ 兼 CEO 粟⽥貴也氏

 コロナ禍を乗り越えた先に待ちかまえていたのは物価高だった。人口減少にともなう働き手不足の影響も小さくない。飲食業界の多くの企業が省人化や機械化に向かう中、同社はこの流れに逆行。「手間暇を惜しまないオペレーション」をはじめ、人にしか生み出せない食の感動体験を提供するという。この姿勢を落とし込んだ独自の経営手法が心的資本経営だ。

心的資本経営とは?

 人が持つ知識やスキル、経験を資本と考え、中長期的な企業価値の向上を目指す人的資本経営とは異なり、人の意欲や積極性、充実を資本と考え、本質的で永続的な企業成長を目指す在り方が心的資本経営である。

「心的資本経営で重視されるのは『従業員の心=ハピネス』と『顧客の心=感動』です。その二つを最優先に考えながら経営していきます」(粟田氏)

着想源

 粟田氏は、米国の巨大企業ベスト・バイの成功を著した『THE HEART OF BUSINESS(ハート・オブ・ビジネス)――「人とパーパス」を本気で大切にする新時代のリーダーシップ』(英治出版)を読んで感銘を受け、心的資本経営を着想したという。

「従業員のエンゲージメントを高めた結果、ベスト・バイの業績はV字回復しました。従業員の提供する感動体験が多くの顧客を生みし、大きな需要を創造します。私はこの本を読んで、人の力を強く実感したのです」(粟田氏)

実践モデル

 心的資本経営を実践するためのモデルとして、粟田氏は「ハピカン繁盛サイクル」を紹介。「ハピ」は従業員のハッピーを、「カン」は顧客の感動を意味するそうだ。

「従業員が幸せになって働くモチベーションが上がると、弊社が最も大切にしている『食の感動』を彼らが自発的に提供してくれるようになります。食の感動体験を受け取ったお客様のロイヤルティが高まれば、店が繁盛して従業員の幸せに還元されます。心的資本経営では、このサイクルがよどみなく回ることを目指します」(粟田氏)

成果

 約一年前から心的資本経営を実践している同社。多くの店舗で思想を啓蒙し続けた結果、離職率は前年比-12.9%に減少。2025年3月期の連結業績では、過去最高の売上収益となる2,682億円を記録した。

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この記事の著者

渡辺 佳奈(Biz/Zine編集部)(ワタナベ カナ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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