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日本企業発・イノベーションへの挑戦者

客室乗務員から社内起業家へ。ANAホールディングス渡海氏が語る、“顧客の声”が導いた事業拡大の裏側

ゲスト:ANAホールディングス 渡海朝子氏

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社外の舞台が事業を加速。日本新規事業大賞がもたらした“直接的な成果”

──日本新規事業大賞に応募したきっかけは何ですか。

渡海:「たくさんの素敵な講師の存在を知ってもらいたい」という思いが最大の動機でしたね。当時はまだtoB展開も開始前で、広報の予算も知見もなく、「どうすればもっと多くの人にサービスを届けられるだろう」と模索していました。そんなときに日本新規事業大賞の存在を知って、「リーダーとして社外でメッセージを発信するのも大切だ」と考えたんです。

──参加した感想や、社内の反応を教えてください。

渡海:審査がある大きな事業コンテストは初めてだったので、何度も練習したのですが、前日は緊張で眠れませんでした。ただ当日は社員たちが盛り上がってくれて、審査員特別賞を受賞したときには「おめでとう」というチャットがたくさん届いて嬉しかったですね。どうやら会場にいた社員が、オンラインで社内に中継してくれていたようです。

 会社も、この受賞を「キャリアオーナーシップ経営AWARD 2025 大企業の部 優秀賞」「Peatixコミュニティアワード 2025 テクノロジー/イノベーション賞」と合わせて、“トリプル受賞”として積極的に発信してくれました。

──社外からの反響はありましたか。

渡海:実は発表後の懇親会で、様々な企業の担当者とご挨拶させていただき、そこから商談や案件獲得につながった事例がいくつかありました。事業に直接的な影響があったのはありがたかったですね。

「第二回 日本新規事業大賞」の最終審査でピッチをする渡海氏(撮影:編集部)
「第二回 日本新規事業大賞」の最終審査でピッチをする渡海氏(撮影:編集部)

ANAのマルチキャリアを複数の事業で展開へ。社外も見据えた今後の狙い

──今後の目標を教えてください。

渡海:短期的には、共創型研修をもっと広めていきたいですね。この研修は、実際、“参加者全員が仲良くなり、やる気になり、前向きになるワークショップ”となるため、医療や物流など、従来のサービス業界以外からの引き合いも増えています。

 長期的には、現在の事業から派生・細分化した複数の事業を展開していくことを目指しています。中でも可能性を感じているのが、BtoBtoCのコミュニティ活性化事業です。これは、お客様や会員のコミュニティを構築したい事業者向けにイベントなどを企画するものです。2025年の秋には、ニュウマン高輪のオープンに合わせて、現役CAらが教える「パリ講座」「ニューヨーク講座」を開講しました。今後は、機上でのラグジュアリーサービスの経験を活かし、ハイクラス層向けのコミュニティマネジメントにも活躍の場があると見込んでいます。

 また、事業者や自治体向けの「おもてなし英会話講座」など、英語力を活かした観光支援の実証実験も進めています。

 これらを通して、陸でのANAブランド訴求や、「マルチキャリアに楽しく挑戦できる会社」というイメージ作りができれば嬉しいですし、その世界観をさらに社外へ広めていきたい思いもあります。実際、他社から事業の“のれん分け”を求める声もあり、コンサルティング事業に発展する可能性も感じています。

 こうした目標を実現するためにも、人的リソースを拡充してまずは事業部化、ゆくゆくは会社化を目指したいですね。

──最後に、新規事業開発に関心を持つ読者へメッセージをお願いします。

渡海:もし、変えたいと思う世界があるなら、他の誰でもなく「あなた」が挑戦すべきです。特に社内起業であれば、会社が法務や人事などあらゆる面でサポートしてくれるので、スキル不足を恐れる必要はありません。自分が立ち上げたサービスでお客様の役に立てるのは、非常に価値がある経験だと思います。

 そして、新規事業を率いるリーダーになるには、外の舞台に立つことも大切です。特に日本新規事業大賞は登壇後の反響が大きく、「社内外にこんなに味方がいるのか」と実感できるので、ぜひ挑戦してみてほしいですね。間違いなく、見える景色が変わります。

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この記事の著者

山田 奈緒美(ヤマダ ナオミ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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