2025年12月16日、NECはサプライチェーン全体のサステナビリティ推進と企業価値向上を目的に、サステナビリティへの取り組み状況を効率的に確認できる「Supplier Portal(サプライヤーポータル)」の実証を開始した。実証は一部サプライヤーと連携し、「Supplier Portal」の操作性およびデータ連携の精度、また、サプライヤー側の調査回答工数やNEC側の回答集計および分析工数の削減効果、収集したデータの活用可能性を検証する。
実証期間は2025年12月から2026年6月まで、想定参加企業数は20社となっている。本実証で得られた成果や知見は、2026年度中を目標とした「Supplier Portal」事業化に活用する。さらに、将来的には単なるデータ収集にとどまらず、サプライヤーや企業間のセキュアなデータ連携や活用を通じて、サプライチェーン全体の価値向上を目指す情報流通基盤の構築可否も探る。
近年、企業活動でのサステナビリティ対応の重要性が高まる一方、サプライチェーン・マネジメント業務の増加や煩雑化が進み、情報流通の非効率性や煩雑な調査票対応、サプライチェーン構造の不透明性、非財務情報開示負荷の増加といった課題が顕在化している。こうした課題の解決手段として、AIやデジタルトランスフォーメーション(DX)による業務効率化への期待が高まっている。
NECはサステナビリティ経営の推進で外部から高い評価を受けてきた。社外向けには、企業のエネルギー使用量や水使用量、廃棄物量、化学物質、温室効果ガス排出量などの環境データを中心とした非財務情報の管理・開示を支援する「GreenGlobeX」や、環境負荷低減を支援するソリューションを展開している。また、自社の先端DX事例を自ら実践する「クライアントゼロ」の考え方のもと、社内でのデジタル技術活用も積極的に進めている。
今回開発した「Supplier Portal」は、従来メールやExcelで行っていたサステナビリティ関連の自己評価質問票(SAQ)のオンライン統合管理を実現。依頼から回答回収、評価フィードバックまでを一元化し、業務の効率化や標準化に寄与する。12月からの実証では、サプライヤー負担・NECの集計分析負担双方の削減やデータ利活用の有用性を具体的に検証する。
実証による知見は、2026年1月開催予定の国際社会経済研究所(IISE)主催ウェビナーなどで報告される予定だ。NECは将来的に、高いセキュリティ技術とAI・DXの知見を基盤にしたサプライヤー情報流通基盤の構築の可能性も検証し、サプライチェーン全体の価値向上を目指す方針だ。
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