2025年12月17日、アクセンチュアとアンソロピックは、企業のAI導入および全社変革を支援するために複数年にわたる戦略的パートナーシップを締結したと発表した。今回の提携で両社は「アクセンチュア アンソロピック ビジネスグループ」を新設。約3万人規模でClaudeに関する専門家の育成、ソリューション開発、サービス提供体制の強化に向けて大規模な投資を行う。

アンソロピックが開発したAIモデル「Claude」とそのソフトウエア開発支援機能「Claude Code」を活用し、アクセンチュアは数万人規模の開発者が利用できる環境を整備。エンジニア組織全体でのAI活用拡大や効果測定を支援し、開発サイクルの加速や生産性向上、迅速な成果創出を目指す。若手開発者でも高品質なコード生成や研修期間の短縮が可能となり、経験豊富な開発者は戦略的業務に集中できる体制を構築する。
両社はまず、金融、ライフサイエンス、ヘルスケア、公共サービスといった規制産業向けに業界別のAIソリューションを共同開発する。金融分野では長大文書の処理や規制対応の自動化、ヘルスケア領域では研究開発の高速化と品質向上、公共分野では行政手続き支援と市民サービスの質向上に焦点をあてる。これにより、各産業の厳格なガバナンス要件を満たしつつ、レガシーシステムのモダナイゼーションを推進する狙いだ。
本提携は「責任あるAI」という価値観を共有し、アンソロピックのAIに関する原則と、アクセンチュアのAIガバナンスの専門性を融合。企業が安心してAIの全面導入に取り組める体制を築く。あわせて、両社はアクセンチュア・イノベーションハブでClaudeの活用を拡大。顧客企業はリスクを抑えながら本格的なAIソリューションの実証や導入が可能になる。また、アクセンチュア社内には「Claudeセンター・オブ・エクセレンス」設立への共同投資も実施する予定で、顧客企業ごとのニーズや規制に即した新たなAI活用策を検討・提供する。
今回のパートナーシップ強化により、経営企画部門など企業の変革を担う組織は、AI技術の迅速かつ安全な導入や全社規模での変革推進が可能となる。実証から本番展開への移行や、事業部横断のAI価値創出を目指す企業にとって、両社の協業が提供する専門人材・業界知見・実践的ソリューションは、有効な競争力強化手段となる。
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