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ディープテック「事業化」への道筋

なぜディープテックは事業化が難しいのか。現場から見える4つの「構造的課題」

第1回

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4.共創型アプローチの進化:“伴走”で溝を埋める仕組み

 近年では、ディープテック領域に対し、コンサルティング会社やベンチャーキャピタルが支援に入ることが増えてきています。ただ、コンサルは特定フェーズや領域に限った支援になりやすく、VCは投資回収の時間軸から短期的な成果を求めざるを得ないことが少なくありません。

 そのため、技術の成熟に必要な長期視点や、社会実装に至る複数段階の課題解決が置き去りになり、PoC止まりで事業化に至らない、あるいは市場投入前に撤退するリスクが生じてしまいます。加えて、大学や研究機関との関係も短期契約で終了するケースが多く、信頼関係や知見の蓄積が途切れ、次フェーズでゼロから関係構築をやり直す非効率も発生します。そのため、網羅的な支援が重要です。

 筆者は現在、「技術シーズ発掘」「技術ロードマップ策定」「顧客検証付きPoC」「資本政策設計」を一体化した伴走モデルを実践しています。実際、シーズの絞り込みから出口戦略までを約6ヵ月で描き切り、シリーズPreAの調達を支援したケースも複数出てきました。

 その中で必要となってくるのが、橋渡し人材の存在です。何のエコシステムでも、時間軸の差異を解釈し、伴走支援で成功に導く伴走者として役割が求められます。

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4つの構造的課題を突破する“仕組み化”

 ここで重要になるのが、以下の3点を仕組みとして組み込むことです。

  1. 早期の顧客参加:事業会社をPoC段階から巻き込み、市場要件をリアルタイムでフィードバックする。
  2. 段階的リスクマネー:政府のマッチング出資とCVCを組み合わせ、超長期の資金を確保する。
  3. 翻訳者の常駐:技術と事業の双方を理解できる人材を大学内外に配置し、意思決定を高速化する。

 これらを実装することで、「技術と市場」「研究と事業」「短期と長期」のギャップを埋め、社会実装までの道のりを着実に歩むことが可能になります。

 次回は、ディープテックと企業の接点、そして民間主導による事業化の可能性と課題をテーマに、R&D部門と事業部門の乖離、社内外の翻訳者組織の設計、そしてシリーズB以降の大型資金調達戦略について詳しく解説します。

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この記事の著者

金子 佳市(カネコ ケイイチ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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