ローランド・ベルガーは2026年5月19日、ヘルスケア産業の未来を展望する長期マクロトレンドレポート「ヘルスケア 2050」を公表した。本レポートは、2050年を見据えた医療エコシステムおよびイノベーションの方向性を人口動態や保険制度の変化、テクノロジー進展、地政学的環境の変化といったグローバルマクロトレンドをもとに整理している。
ヘルスケア産業は、規制の厳しさや多様なステークホルダーの存在からイノベーションが進みにくい分野とされてきた。その一方で、製品やサービスのライフサイクルが長いため、変化を予測しやすく、長期的視点での戦略立案が重要となる産業である。本レポートではいくつかの確度ある未来シナリオが示されている。
まず、世界の人口高齢化は加速している。65歳以上人口の割合は2020年時点で9.4%だったが、2060年には約18.7%に倍増すると見込まれている。高齢化は先進国のみならず新興国にも広がっており、グローバルな課題として認識されている。
平均寿命も延び続け、2022年の73.7歳から2050年には78.3歳に到達する見通しである。一方で、健康寿命の延伸は限定的で、同期間に63.7歳から66.8歳と3.1年の増加にとどまる。高齢期にはフレイル、アルツハイマー病、筋骨格系疾患、慢性腎不全といった疾患が健康寿命を制約する要因になると指摘されている。
また、高齢化・慢性疾患増加により社会保障・医療費は一層増加し、これを支える労働人口の減少も進行する。こうした中、医療費の重点配分先は早期介入や未病段階のケア、労働人口のメンタルヘルス対策、不妊治療支援、再生医療技術の導入などにシフトすると予測される。腎臓オルガノイドの技術進展によって慢性腎不全治療が進化し、人工透析依存からの脱却と医療費抑制が期待されている。
ヘルスケア分野では技術の社会実装には長期間を要しつつも、既存技術を軸とした中長期シナリオ分析が有用であるとローランド・ベルガーは提言する。加えて、医療財源の民間負担拡大やESG・地政学的潮流が医療政策に影響を及ぼす可能性も指摘されている。
本レポートは今後の戦略・投資判断に資するべく、2050年時点の社会や経済が求める医療像を示唆する内容となっている。
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